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事例から学ぶ、建設業界M&A 第5回 建設業界M&A成約事例

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 最終回の第五回目も建設業界M&Aを実現した成約事例をご紹介します。具体的な事例を通じて、M&Aに至った背景やシナジーについて、解説します。

■成約事例
【譲渡企業】森田工産×【譲受企業】エスイー
 森田工産(鳥取県)は、エスイー(東京都)にM&Aによる株式譲渡を実行しました。森田工産は、鳥取県米子市にて鉄骨工事を手掛ける企業です。
 譲渡オーナーである森田社長は37歳の時に、創業者の父から社長を引き継ぎました。森田社長は父から早い時期に会社を引き継ぐこととなったことから、自身も「65歳で引退するなら55歳までに後継者を決めておきたい」と考えていました。10年間かけて後継者を見つけようと、43歳の頃から事業承継について考えるようになりました。
 当時会社の業績は非常に好調で、相続税の問題から親族承継・従業員承継ともに難しいという結論に至り、M&Aで上場企業であるエスイーグループ(当時東証ジャスダック)の一員になることを選択しました。
 森田社長も、M&A検討の初期段階では、まさか上場企業グループの一員になることは想像していませんでしたが、「M&Aはいくら早く始めてもノーリスク、何も行動しないほうがリスク」とその決断を振り返ります。自社の状態や社会情勢などによって、M&Aの結果が大きく変わってきます。だからこそ、M&Aで成功するためには森田社長のように早めに準備をスタートさせることが非常に重要です。

社名:巨X田工産(鳥取県)
事業内容:鉄骨工事業
売上高:約6億円  従業員数: 18名 ※M&A実行時

社名:潟Gスイー(東京都)
事業内容:建設資機材製造・販売
売上高:約195億円  従業員数: 417名 ※M&A実行時

 いかがでしたでしょうか?「事例から学ぶ、建設業界M&A」と題して、全5回のコラムをお届けしてきました。企業が抱える課題がさまざまあるように、その課題を解決するM&Aも事例ごとにストーリーが存在します。実際に譲渡オーナーがM&Aを検討した背景やM&Aを進める中でのオーナーの心情、買収企業側のM&A戦略などを理解いただく一助になれば幸いです。M&Aを検討される際には、お気軽にご相談いただければと思います。

執筆者プロフィール

清水 貴章(しみず たかあき)

清水 貴章(しみず たかあき)
株式会社日本M&Aセンター 業種特化事業部 建設業界専門グループ 青山学院大学経済学部卒業後、損害保険ジャパン株式会社にて保険代理店向けのコンサルティング営業に従事し、日本M&Aセンターに入社。現在、建設業界専門グループに所属し、建設業界の中堅・中小企業のM&Aを支援している。 (株)日本M&AセンターHP(https://www.nihon-ma.co.jp/sector/c_construction.php