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行列のできる建設M&A相談所 第3回 非事業用資産がある場合はどうなるの?

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 本コラムでは、「M&Aのこれってどうなるの?」という疑問について、全5回の連載にて解説しています。第3回は、「非事業用資産がある場合はどうなるの?」です。

■M&Aにおける非事業用資産の考え方
 中堅・中小企業において、会社の資産に本業とは関連がない非事業用資産が含まれているケースが多々あります。ここでいう本業とは関連がないというのは、本業の事業活動で利益を生み出す過程では直接使用されない資産のことを指します。よく挙げられるのは、本業に関連のない収益不動産やオーナー個人が使用する自動車、投資目的用の有価証券などです。M&Aにおいて、譲り受け企業の目的は譲渡企業の事業を譲り受けることで、非事業用資産は譲受け不要と考えるのが一般的です。その場合、非事業用資産を切り離す必要があります。

■結論、非事業用資産をどのように切り離すのか
非事業用資産を切り離すにはいくつかの方法があります。譲り受け企業と譲渡企業間での金銭による「売買」や役員退任時に資産自体を支給する「役員退職金としての現物支給」、会社の一部を切り離し別会社に移転する「会社分割」などです。どの方法で資産を切り離すかは、切り離す資産の数や性質によってメリットデメリットがあり、総合的に判断していくことになります。なお、切り離す際の価格は原則的に「時価」で行います。

このように非事業用資産は、いくつかの方法で切り離しをすることが可能です。ただし、M&Aにおいては非事業用資産がないことが最も進めやすい状況であることは間違いがなく、将来を見据えて事前に会社の資産を整理しておくことも大切です。

執筆者プロフィール

清水 貴章(しみず たかあき)

清水 貴章(しみず たかあき)
株式会社日本M&Aセンター 業種特化事業部 建設業界専門グループ 青山学院大学経済学部卒業後、損害保険ジャパン株式会社にて保険代理店向けのコンサルティング営業に従事し、日本M&Aセンターに入社。現在、建設業界専門グループに所属し、建設業界の中堅・中小企業のM&Aを支援している。 (株)日本M&AセンターHP(https://www.nihon-ma.co.jp/sector/c_construction.php