暑さに負けない！① 熱中症の怖さ
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７月に入って、厳しい暑さとなる日が増えてきましたが、この時期に注意が必要なのが「熱中症」です。いつでもどこでも誰でも、条件次第では熱中症になる危険性があります。熱中症にはめまいや頭痛など様々な症状がありますが、重症化すると命に関わることもあります。ただ、正しい予防方法を知っていれば防ぐことができますし、適切な応急処置を実施することで重症化を回避することもできます。
はじめに、熱中症はどのようにして引き起こされるのか、そのメカニズムについてみていきましょう。熱中症とは、高温多湿な環境に私たちの体がうまく適応できないことで生じる様々な症状の総称です。運動や仕事などで体を動かすと、体内で熱が作られて体温が上昇しますが、通常は、汗をかくこと（発汗）による気化熱や、体の表面から空気中に熱を逃がすこと（熱放散）によって体温を調節するため、体温は36℃から37℃くらいに保たれています。
ただ、高温多湿な環境では、体内で作られた熱をうまく外に逃がすことができなくなって、体の中の水分や塩分のバランスが崩れたり、血液の流れが悪くなったりします。それによって、体の中に熱がたまって体温が上昇し、脳を含む重要な臓器の機能が低下することで、体調が悪くなって、熱中症が引き起こされるのです。
次に、熱中症の症状についてみていきましょう。日本救急医学会では、熱中症の重症度をⅠ度（現場での応急処置で対応できる軽症）、Ⅱ度（病院への搬送を必要とする中等症）、Ⅲ度（入院して集中治療の必要性のある重症）の３つに分類しています。
Ⅰ度は、めまいや立ちくらみ、顔のほてり、一時的な失神などの症状です。意外に思われるかもしれませんが、腹痛や筋肉痛、手足のしびれ、手足の筋肉がつる（こむら返り）などの症状もあります。Ⅱ度は、頭痛や吐き気、体のだるさ（倦怠感）などの症状で、Ⅲ度は、意識がない、呼びかけに反応しない、まっすぐ歩けない、体温が高いなどの症状です。
重症度を判断する時に重要なのは、意識があるかどうかです。意識がある場合は、すぐに涼しい場所へ移動し、体を冷やして、水分や塩分を補給するなど応急処置を行いましょう。それでも症状が改善しない、または、少しでも意識がおかしいと感じたら、Ⅱ度以上と判断して、医療機関を受診してください。意識がない場合は、Ⅲ度に分類して、すぐに救急車を呼び、必ず誰かが付き添って、状態を見守ることが大切です。（寄稿 執筆者 日本気象協会所属 気象予報士／防災士／熱中症予防指導員 久保智子）
執筆者プロフィール
日本気象協会 久保智子さん