「2024年問題の対応に追われる建設業界のイマ〜中堅・中小企業の実情と打開策を、現場経験豊富なコンサルタントが経営目線で解説!〜」
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“働き方改革”——建設業に従事していて、ここ数年このフレーズを見ない日はない。その働き方改革=働き方改革関連法案の適用がいよいよ2024年4月から始まり、早くも2カ月がたとうとしている。
これまで現場所長や現場員が労を惜しまずに時間を投入することで解決してきた、数々の安全確保や品質基準の担保、トラブル対応などが、法律を設けたことで瞬く間に解消されている——などということは夢物語であり、大手ゼネコンから街の工務店にいたるまで、働き方改革と現場業務の両立に苦労しているのが実情である。
さまざまな建設会社が、特に現場での働き方改革の実現を果たせていない大きな要因としては、これまでの業界の慣習や文化はもとより、職人不足、現場監督不足、建設に求められる要求水準の高まり、それらに加えて施主からは事業性を重視した工期を提示されるなど、さまざまな要素が複雑に絡み合っているためである。
一方で、そのような困難を乗り越え、働き方改革を実現した企業や、限りなく実現に近い状態の企業が存在しているのも事実である。本コラムでは、全5回で、成功のポイントやこれから特に必要となる要素について、筆者のこれまでの現場監督経験ならびにコンサルティング経験に基づき紹介する。
第1回では、その第一ステップについて整理したい。
それは、「力点を意識した施策」の実施である。先述の通り、建設現場の労務過多は、さまざまな要因が幾重にも折り重なって発生している。まずはその段階を整理する必要がある。具体的には、建設行為のフローの中で、どこの何に起因して現場の残業が発生しているかを探る、現状理解である。その際に必要な視点は大きく分けて、@営業段階、A設計段階、B現場管理段階の3段階である。例えば、現場監督の段取り力や時間配分、中流の設計段階での仕様未確定部分や打ち合せ不足によるシワ寄せ、上流の営業段階における工程目測の誤りや施主との条件折衝不足などが挙げられる。
現状理解をした上で、どの段階の何を解消するために、どのような施策を打つのか。しっかりと狙いを定めて、一つひとつクリアしていくことが必要である。そして、仮にその要因が自社にない機能であるならば、しっかりと入り口段階での選別基準の作成、条件付けをすることが重要となる。まずはその意識を持って施策の立案、徹底をしていくことが第一ステップとなる。
執筆者プロフィール

折田 考(おりた こう)
株式会社タナベコンサルティング ストラテジー&ドメインコンサルティングチーフマネジャー
建設業界にて法人営業・現場管理・コンプライアンス管理など幅広く経験し、当社へ入社。”現場視点×経営視点”のコンサルティングを信条とし、建設業界を中心に企業の実態に寄り添うコンサルティングスタイルに定評がある。1級建築施工管理技士・1級管工事施工管理技士・1級電気工事施工管理技士。
株式会社タナベコンサルティング↓
https://www.tanabeconsulting.co.jp/vision/