建設業界のM&Aとは【第5回】建設業のM&A成約事例
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後継者不在を理由に廃業を選択する経営者が後を絶たない中、「M&A」によって、多くの中小企業が会社の存続やさらなる事業成長を実現させている。ここでは、実際に弊社がサポートした建設業の成約事例を2件紹介する。
1. 図面作成業×設備工事業
【M&Aに至った背景】
譲渡企業は、BIMのノウハウを有する図面作成業である。従業員は15人、売り上げは約5億円で有利子負債もない優良企業だったが、働き方改革による「時間外労働の上限規制」への対応が課題となっていたことから、経営方針を模索していた。
譲り受け企業は大手の設備工事業で、グループ全体の売り上げは約2000億円の上場企業である。専門性の高いBIM技術を持つ企業の買収を検討していたことから、互いに不足している機能やリソースを補完し合うことができ、目指すべきビジョンが一致していることから、成長戦略の一環として譲り受けを決めた。
【譲渡企業オーナーコメント】
当初はM&Aと同時に引退を考えていたが、譲り受け企業より成長のけん引を期待され、引き続き社長として残り、共に成長戦略の実現に向けて取り組んでいくことを決断した。
【M&Aにより得られた恩恵】
オーナー社長としてさらなる企業成長実現に参画、機能・リソースの相互活用によるコスト削減、生産性向上
2. 建設業×経営コンサルタント業
【M&Aに至った背景】
譲渡企業は、地域では一定の認知度がある高成長中の有力ハウスビルダーである。注文住宅の企画・販売を地道に行ってきた結果、右肩上がりに成長を遂げており、売り上げは数十億円と順調であった。IPOとM&Aの2択を検討する中、経営者の病気が発覚した。創業当初より親族承継は選択肢になかったため、M&A が最も望ましいと判断した。
譲受企業は、経営コンサルタント業である。長期的な事業成長に寄与することを目的として譲り受けを決めた。
両社のノウハウを組み合わせ、さらなるステップアップが期待される事例となった。
【譲渡企業オーナーコメント】
息子はいるが別の分野で活躍しているため、親族承継しないことを念頭に置いて会社を経営してきた。IPOかM&Aを模索していたところ、当社の未来図に共感いただける譲り受け企業の紹介を受けた。今後は「地域を代表する会社」になるべく、共にさらなる成長を目指す所存である。
【M&Aにより得られた恩恵】
両社のノウハウ融合によるさらなる企業成長の期待、後継者不在問題の解消
執筆者プロフィール
玉田卓也(たまだ たくや)
株式会社M&A総合研究所企業情報第八本部第二部 シニアマネージャー
大学卒業後、株式会社三井住友銀行で7年間、相続対策・事業承継対策に従事し社長賞を受賞。業務を通じ、中堅中小企業の後継者不足の問題を痛感し、解決の一助となるべくM&A業界へ転身。大手M&A仲介会社で全国約50社の譲渡企業様を担当。その経験を活かし、株式会社M&A総合研究所では建設・工事業界を中心に、幅広い業種での事業承継と企業価値向上の支援に注力している。
株式会社M&A総合研究所
https://masouken.com/