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建設業の戦略営業−営業マネジメント編− 第4回「チーム営業とは何か」

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1、情報共有化の重要性
 建設営業にとって情報の持つ意味・重要性は今さら言うまでもないと
思う。営業は様々なルートから情報を入手し、それを活用してビジネス
チャンスに変えることが仕事である。
 例えばある建設会社に営業担当者のA氏とB氏がいたとしよう。A氏
は土地オーナーから自分の所有する遊休土地を売却したり、人に貸した
りする要望を受けている。B氏はデベロッパーや流通企業から事業化す
るための土地探しの依頼を受けている。
 この場合、A氏の土地情報とB氏の土地探しの情報をドッキングさせ
ればビジネスチャンスになる可能性があるはずである。
 しかしながら、同じ会社の同じ営業部門に所属していながら、このA
氏とB氏との間に情報を共有化する接点が無く、ビジネスチャンスをむ
ざむざ逃しているケースが現実にはよく見受けられる。
 情報がこれだけ重要性を有しているにもかかわらず、営業担当者同士
の情報共有化のための接点が不足しているのはなぜなのか。
 建設業の営業部門で情報共有化できない問題として下記の点が挙げら
れる。
@営業部門としての意思統一の場面(ミーティング等)が無い、時間が
少ない
 営業メンバーが皆で月、週、日単位で集まり、情報を共有化する場面
としての会議やミーティングなどが無い、または、あってもわずかな時
間(数十分)でしか打ち合わせていない。
Aお互いに情報をオープンにする意識に欠ける
 営業担当者はもちろん、営業管理職も含めて営業情報は丸秘という了
見があり、お互いに情報を出さず、むしろ隠したがる。これは情報をオ
ープンにすることにより、上からあれこれと口出しされることを嫌うことにあるようだ。
B情報共有化のための仕組みが欠如している
 営業担当者全員が帰社後に営業日報などを書いていても日報を書くだ
けで終わってしまい、日報をもとにした協議やフィードバックが無い
(営業日報をコンピュータに入力してデータベース化している企業もあ
るが、それも入力しただけで個々人が活用しきれずに終わっている企業がある)。
2、チーム営業の特徴
 筆者はこれからの建設営業部門にはチーム営業が必要と考えている。受注目標を達成するために営業部門において情報を共有化し、機能化する中から部門全体の営業力を高める仕組みとしてチーム営業は求められ
る。
チーム営業の特徴は、次の点にある。
@企業方針と戦略を具現化する活動
 営業部門は会社方針や戦略をふまえて市場に対する有効な働きかけを
行っていかねばならない。そして、営業管理職(チームリーダー)はその方針・戦略にそって受注目標を達成するためにメンバーに対するリーダーシップを発揮し、メンバー相互の啓発や役割分担をとおしてチーム
としての目標をコンスタントに図る活動を推進する。
A営業組織として行動すべき基準の明確化
 営業組織の一員として何を基準に営業活動を行うのかが明確になっており、営業担当者の動きが能動的かつ有効に働くようになる。
B計画的な営業と実行力
 受注目標を達成するための具体的な計画の策定と実際の行動が直結
し、もしそこに差異ができても修正行動が管理職やメンバー同士のフィ
ードバックにより着実にすばやく実行されるようになる。
C営業情報の共有化
 個別案件に関する営業情報はもちろんのこと営業技術・ノウハウがお
 互いに相互啓発により共有化され、チーム全体として標準化することにより、会社の財産として蓄積される。
Dチーム内での問題解決
 チームとして目標達成するための自分達の問題が常に明確になってお
り、それを改善課題として捉え、常に勝つための方法論を考えながら取
り組むことにより、負け癖を廃した強いチームとなる。
E他部門との組織的な相互関係
 施工部門などの他部署との連携を個人対応に依存することなく、チームとしての対応を行うことにより、組織的な受注対策をとることができる。

問い合わせ先
(株)日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所
TEL 03(3950)1178 FAX 03(3952)0430
URL http://www.niccon.co.jp/kensetsu/
E-MAIL kensetsu@niccon.co.jp
ご質問にはお答えできない場合もございますのでご了承ください。

執筆者プロフィール

株式会社日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所  副部長コンサルタント 酒井誠一