建設業の戦略営業−営業マネジメント編− 第6回「営業組織として行動すべき基準の明確化」
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1.有効営業活動とは何か
今回はチーム営業を進めるに当たっての機能として、「営業組織として
行動すべき基準の明確化」を取り上げたい。
前回、チーム営業の機能のひとつとして、「企業方針と戦略を具現化す
る活動」について、営業管理職が中心となって方針をメンバーに下ろし
ていくことの重要性を述べた。さて、方針を受けたメンバーは、日々の
営業活動の中で何をよりどころとして活動すべきであろうか。
筆者が各建設企業の営業部門を訪問する中で、営業担当者は上から見込
み状況の報告は求められる一方で、現在の営業活動がうまくいっている
のか、いないのかの確認も無く、ただ漫然と営業活動を行っていること
がある。個人の受注目標やチームの方針が明確になっていれば、それら
と対比した進捗状況という形で、ある程度の活動の良し悪しが判断つく
かもしれない。しかし、個人や組織の受注目標の進捗(達成度)だけで
は、現在の状況の良し悪しはわかっても今後の見通しはわからない。同
じように方針についても、チーム全体の共通認識と状況把握はできたと
しても、個々人レベルの達成度を計れるものとそうでないものとがある。
営業活動の基本線は受注目標の達成にある。日々の営業活動で積み上げ
ていく受注実績をどのように達成していくかがプロセス管理であり、チ
ーム営業活動のコントロールポイントとなる。そこで、受注を上げるた
めに、業績と直結する営業活動のことをここでは「有効営業活動」と定
義する。建設営業において、どのような活動が有効営業活動にあたるだ
ろうか。民間工事の営業においては、次のような活動基準が例として挙
げられる。
@訪問活動プロセス
訪問件数、面談件数、商談件数、アポイント件数、工事見込み案件数、
見積提出件数、新規見込み企業件数等
A顧客管理プロセス
継続受注件数、(受注実績のある)管理顧客増加数、顧客別前年対比
実績等以上のような有効営業活動の基準を営業チームの中で明確にし、
週単位または月単位で、営業管理職を中心に基準に対する目標値を決
めて相互に確認を行っていく。
営業管理職は受注目標達成のために、営業メンバーの工事見込み案件
の確認と合わせ、これら有効営業活動の基準を満たしているかどうか
を確認することにより、営業メンバーの活動が順調であるかどうかを
判断し、問題があれば指導を行う。「受注を取って来い」とメンバー
に対する叱咤激励を行うことが営業管理職の指導ではなく、メンバー
の有効営業活動量を向上させることが指導であり、マネジメントとい
える。
2.有効営業活動量の向上
有効営業活動量を向上させるには、まず営業管理職が中心となって、チ
ームの中で何が有効営業活動であるかを決定しなければならない。本当
に有効かどうか確信が持てない場合も、仮設定でよいので、まずは設定
する。有効営業活動を設定したら即実行に移す。その際にはメンバー全
員がチームの方針に沿って、この有効営業活動の活動基準にトライしな
ければならない。ひとりでも方針に従わなければチームで取り組む意味
が無い。チーム全体で取り組み、数ヶ月くらい実行しながら、この有効
営業活動が妥当であるか否かを検証してみる。この期間の中で設定した
有効営業活動が業績向上に結びつくことが検証できれば、後はチームの
中で「どのように有効営業活動を質量ともに向上できるか」を常に思考
し、試みることで、チーム全体のレベルが向上してくるのである。
問い合わせ先
(株)日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所
TEL 03(3950)1178 FAX 03(3952)0430
URL http://www.niccon.co.jp/kensetsu/
E-MAIL kensetsu@niccon.co.jp
ご質問にはお答えできない場合もございますのでご了承ください。
執筆者プロフィール
株式会社日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所
副部長コンサルタント 酒井誠一