「人を活かす:個人の成長が企業の成長」 =第1回=「働く目的今昔〜働く目的は自分軸〜」
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早速ですが、「あなたはなぜ働くのですか?」と問われたら、皆さんは
何とお答えになるでしょう?“お金のため”、“働くのは当然だから”
、“生きがい”いろいろな答えがあるでしょうし、答えがひとつとは限
らないかもしれません。「国民生活の世論調査(内閣府・2006年調べ)」
では、全体では約半数の方が、“お金のため”と答えています。次いで
“生きがいをみつけるため”、“社会の一員として務めを果たすため”
となっています。そのうち若い世代(20代(学生含む))を見てみると、
“お金のため”とする人はやはり一番多いのですが、全体と比較すると
割合は減って、“自分の才能や能力を発揮するため”の割合が大きくな
っているのが特徴です。またこの世代では“お金のため”と言っても、
生活するためのお金ということもあるでしょうが、楽しむためのお金と
いう性格が強いかもしれません。
今の20代は物心がついた頃にはバブルが崩壊し、企業の倒産や合併など
を見てきた世代です。その時代というのは、終身雇用の崩壊、成果主義、
個人責任などといった言葉がクローズアップされてきた時代でもありま
す。大人達が社会の変化の中で急激な方向転換を迫られた結果、子ども
達にもそれまでとは異なった教育が行われてきています。
現在キャリア教育が大学や高校のカリキュラムに組み込まれるのは当然
になってきており、その中で、「自分とは何者なのだろう」「個性が大
切」「天職を見つけよう」などと言われ続けています。この世代は、「
最初に就職した会社が自分の職業生活をずっと送れる場であるという保
証は無い」「自分軸を持たなければ」「専門性を持たなければこの世の
中で生き抜いて行けない」「それもなるべく早く自分の天職に巡り合わ
ないと・・・」といった焦りを持っているように感じます。良い見方を
すれば、“自分を知っていて、目標もあって、そこに到達したいと思っ
ている”といえます。就職した企業の中で仕事の目標を持てたら、能力
を思う存分発揮していきそうです。
その一方で、どの様な仕事をするにしても、その仕事をする意味や目的、
その仕事をする事によってどの様に成長できるのか、それは自分が目指
しているものとマッチするのかを考えています。その考え自体は決して
マイナスではなく、仕事をしていく上でプラスの面のほうが多いのです
が、仕事の目標を就職した企業内でなかなか見つける事ができないと、
「やりたい仕事をやれない」「この会社にいてもこれ以上成長できない」
「自分がいるべき会社はここではない」といった理由であっさりと辞め
ていってしまいます。企業側としたら、これから活躍してもらおうと思っ
たとたんに辞められてしまった、という事が少なくないのが現状です。
次回からはこのような社員に企業としてどの様なキャリア形成を促進し
ていけるのかを見て行きたいと思います。
執筆者プロフィール
天野社会保険労務士事務所 社会保険労務士 CFP(R) 天野由加里