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建設業の戦略営業−営業マネジメント編− 第8回「計画的な営業と実行力(2)」

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(2−2)計画的な営業活動の作成
前回は営業組織(チーム)としての方針と有効営業活動を達成させるた
めには、チーム全体で合意形成された営業活動の計画を立てることの必
要性を述べ、@年間計画A半期(四半期)計画について解説した。今回
は引き続きB月間計画C週間計画D翌日の計画について述べたい。
「B月間計画」は前記の年間計画や半期(四半期)計画が受注目標を達
成するためのマクロ的な戦略計画であるとすれば、月間計画はミクロ的
な戦術計画となる。
具体的には1ヶ月間に訪問すべき顧客はすべて計画に落としこむ。その
中から見込みランクの設定と受注予定金額を明確にする。次に顧客ごと
に見込み度の高い工事見込案件ごとに顧客攻略のための戦術(受注するための手段・方法)と優先順位にもとづく訪問予定時期(日にちもしく
は第何週目)を明確にする。
官庁工事のように工事物件によって発注時期などが必ずしもハッキリし
ないものについては、(1)発注時期(2)工事施工場所(3)入札形態(指
名、一般競争、総合評価等)(4)工事入札ランク(5)予定価格(概算で
可)などの各情報を1ヶ月の間で、どのくらい深く精度高く情報収集す
るのかを目標設定する上で計画化する。
次に「C週間計画」は、月間計画で立てた活動予定を週単位できめ細か
く落とし込んでいく活動である。一般的には週末(木曜日または金曜
日)に次週の計画として作成する。特に重要な記入項目としては、(1)
顧客に対するアポイントメントの時間を含めて訪問顧客、日時、場所を
明記する(2)訪問に際しての目的を明確に記入する(挨拶、ニーズ把握、見込みのランクアップ、予算確認、発注時期確認、競合他社の動向把握、技術提案、見積提出、支払条件確認、契約締結等々)(3)訪問目
的にもとづき準備資料(見積書、図面、提案書等)を用意する(特に資
料作成に時間を要するものは作成期限も明確にする)。
特にの目的については、いつも「挨拶確認」とだけ記入する営業担当者
を時々見かけるが、このような挨拶訪問だけの活動はすなわち「御用聞
き営業」であり、新たな工事見込案件発掘はなかなかおぼつかない。何
か有効な営業活動となるように目的意識を持って訪問する場合と目的意
識なしに訪問する場合とでは、その訪問結果に差が出てくるものであ
る。
次に「D翌日の計画」は訪問日の前日の夕方に訪問に際しての準備・確
認を行う計画である。計画とあるが、この場合必ずしも計画書として書
面に表す必要性はない。大事な事は翌日訪問する先のアポイントメント
の確認や準備資料の用意・確認、訪問工程(午前中の予定、午後の予
定)の確認、顧客に対する営業ストーリーの想定(訪問目的を果たすた
めの顧客との折衝方法、話法展開)を行う。
以上のように計画は「@年間計画」から始まって「D翌日の計画」まで
一連のつながりで作成されなければならない。そして、これらの計画は
実行されて始めて有効営業活動に結びつく。
そこで、次回はこれら計画をいかにして営業現場で具体的に実行してい
くかを解説させていただく。

問い合わせ先
(株)日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所
TEL 03(3950)1178 FAX 03(3952)0430
URL http://www.niccon.co.jp/kensetsu/
E-MAIL kensetsu@niccon.co.jp
ご質問にはお答えできない場合もございますのでご了承ください。

執筆者プロフィール

株式会社日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所 副部長コンサルタント 酒井誠一