「人を活かす:個人の成長が企業の成長」 =第4回=「社会人が学ぶという事」〜学ぶには動機が必要〜
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子ども達が何かを学んでいるのを目にしたことはありますか?子ども達
がとても素直に教えられた事を吸収していくのには本当に驚かされま
す。そして同時に自分達社会人はなぜこのように素直に学べないのかと
考えさせられてしまいます。
子どもは与えられたカリキュラムを教師によって教えられることに疑問
を持ちません。教えられる内容も、すぐに役に立つかどうかわからない
ものもあったりしますが、だからといって学ぶ必要が無いと思うことは
ありません。しかし年齢が上がってくると「何で勉強するのだろう?」
「これって何の役に立つの?」などと考えるようになり、幼い子どもの
学びから徐々に大人(社会人)の学びへと変化していきます。では社会
人の学び方とはどの様子なものなのでしょう。
社会人の学びには以下の特徴があると言われています(ノールズ:大人
の学習を援助する技術と科学)。
@ 社会人は社会的役割の課題によって、すすんで学習する
社会人は自分に与えられた社会的役割を果たそうと思った時、やっと学
習する準備ができます。例えば仕事上の問題を解決したいと自覚した時
に始めて学習しようと考えます。子どもが教えられる事を素直に学んで
いくのとは違い、社会人には学ぶための明確な動機が必要になります。
A 社会人は自己決定的である
社会人の学習の仕方は自律的です。社会人は自分が必要だと思ったもの
を選択して学んでいきます。他者から強要されたり、指示されたりする
事は好みません。自身の抱えている問題の解決にふさわしい学習計画の
作成、展開そして成果の活用までの全てのプロセスを自分自身で選択
し、決定しようとする傾向があります。
B 社会人は多様な経験をしている
社会人は学習の内容と経験したことを結び付けて考え、学んだ知識等の
定着を図ります。社会人は子どもに比べて長い時間生きている分、様々
な経験をしています。そして、自分の経験してきたことに非常に大きな
価値を置いています。意見を出し合う時などに自分の経験に基づいて話
す事が多くなるのはその為です。経験と新たに学んだ知識が上手く絡み
合って、学習の理解がより進みます。その一方で、経験に余りに価値を
置きすぎてしまい、「自分の経験で十分やってきた。こんな理屈はいら
ない」等と学ぶ事に対して否定的な判断になってしまう事もあります。C 社会人は問題解決的な学習を好む
社会人は自分の抱えた問題に学習した成果をすぐに役立てようとする傾
向が強くあります。子どもの時の学習は遠い将来において役立つかもし
れない事を多く学びますが、社会人で「役に立つかわからないけれど学
んでみよう」と考える人はまずいないでしょう。その為、研修等で「こ
んな話を聞いたって、現場では何の役にも立たない」と思った場合など
は学習に意欲的ではなくなってしまいます。
以上の様な特徴を踏まえて研修等は課題や問題解決に重点を置き、経験
を引き出す形で行ったほうが良いとも言われています。
研修等だけではなく、このような社会人の学びの特徴は日常の業務の中
でも活かす事ができます。課題を抱えた時にサポートする側(上司な
ど)が多くを指示するのではなく、経験や課題に応じた適切な情報を提
供するに止める。そして自身で方法を考え、学び、課題を解決する。そ
の結果の評価を自身でも行う。この様なやり方を上手く機能させる事で、学び上手で問題解決能力を身につけた社員を育成していくことがで
きるようなります。
天野社会保険労務士事務所
URL http://www.amano-sr.net/
執筆者プロフィール
天野社会保険労務士事務所 社会保険労務士 CFP(R) 天野由加里