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【若手の離職を防ぐ5つの秘訣】第4回 待遇を改善しているのに、なぜ若手が早期に退職してしまうのか

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 働き方改革を進め残業を減らしたり、休日を増やしたりなどの、待遇を改善しても、辞めていく若手社員が増えています。それは、職場や仕事が「ゆるすぎる」「ここにいたら成長できない」と危機感を感じて辞めていく人たちです。
 この問題を解くカギになるのは「キャリア安全性」という考え方です。「キャリア安全性」という言葉は、リクルートワークス研究所の造語です。同研究所は2022年に若手社員への定量調査を実施し、入社3年目までの新入社員の36%が、職場を「ゆるい」と感じているという実態を明らかにしました。

「キャリア安全性」は、以下の3つの要素からなります。
(1)このまま仕事をしていても成長できないと感じる

(2)自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないかと感じる

(3)学生時代の友人・知人と比べて、差をつけられているように感じる

 この3項目に対して「そう思う」度合いが高ければ「キャリア安全性が低い」ということです。
 ではどうすれば「キャリア安全性」を高めることができるのでしょうか。

 それは、現在行っている仕事の意味とこの仕事をすることでどんなスキルが身につくのかということを話すことです。「測量は、地球に彫刻をするための下絵を描くような仕事だ。測量技術を理解すると、図面を読み取る力、二次元を三次元に置き換えることができる能力を身につける事ができる」「写真整理とは、今行っている工事を後世の人々に伝えるための仕事だ。写真整理技術を理解すると、標準仕様書の内容と、設計書を把握していることになるため、工事の全体像をつかむ能力を身につけることができる」などと仕事の意味と身につくスキルを上司が新入社員に話すことが大切です。

執筆者プロフィール

ハタ コンサルタント株式会社代表取締役、 NPO法人建設経営者倶楽部KKC理事長 降籏 達生(ふるはた たつお)

降籏 達生(ふるはた たつお)
ハタ コンサルタント株式会社代表取締役、 NPO法人建設経営者倶楽部KKC理事長
1961年、兵庫県神戸市生まれ。83年に大阪大学工学部土木工学科を卒業後、熊谷組に入社。阪神淡路大震災にて故郷兵庫県神戸市の惨状を目の当たりにして開眼。建設コンサルタント業を始める。 建設技術者研修25万人、現場指導6000件を超える。建設の専門家としてテレビ、ラジオ、新聞取材多数。「がんばれ建設〜建設業業績アップの秘訣〜」は読者数25,000人、日本一の建設業向けメールマガジンとなっている。
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