建設業の戦略営業−営業マネジメント編− 第16回「最終章−営業担当者をいかに育成していくか(2)」
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たいがいの建設企業において営業管理職はプレーイングマネージャーで
ある。すなわち自ら担当顧客先を持ち、一営業担当者としての活動を行
いながら部下の指導も行わなければならない。営業管理職は限られた時
間の中で部下の指導・育成を行わなくてはならず、おのずと指導の中心
はOJT(On the job trainingの略で職場内教育訓練)による育成とな
る。
10.最終章−営業担当者をいかに育成していくか(2)
3)営業管理職が実施するOJTによる部下育成
たいがいの建設企業において営業管理職はプレーイングマネージャーで
ある。すなわち自ら担当顧客先を持ち、一営業担当者としての活動を行
いながら部下の指導も行わなければならない。
前号でも述べたように営業管理職は限られた時間の中で部下の指導・育
成を行わなくてはならない。そこで、おのずと指導の中心はOJT(On
the job trainingの略で職場内教育訓練)による育成となる。次に営業
担当者を育成するためのOJTについて場面ごとに解説する。
@計画づくりのOJT
以前にも説明したように営業担当者は年・月・週の単位で営業活動の計
画を作成する必要がある。そこで、営業管理職は部下が作成する営業活
動計画について、単に確認・承認で終わるのではなく、場合によっては
その作りこみに対しても関与し、いつ(時期)、 どこで(地域)、誰に(
顧客)、何の目的で(建設動機)、何を(提案商品)、いくらで(予算、
見積金額)、どのように(営業促進方法)のいわゆる5W2Hの視点で
指導を行い、計画に問題があればアドバイスを行い、その場で修正させ
る。
A日報指導によるOJT
営業管理職はチーム営業の一環として営業担当者の日報を活用したミー
ティングにより情報共有化と同時に部下に対する指導も図る。
日報指導は1営業担当者につき最低でも15分は費やす。15分が長い
か短いかであるが、もし日報を見て15分以上の会話にならない営業活
動であれば、その活動は非生産的であると言われてもしかたあるまい。
特に日報の記入欄に「挨拶」とだけ書かれていれば、営業担当者にどの
ような目的で訪問したかを問いたださなければならない。じっくり話し
込めば30分でも1時間でも足らないはずである。
日報指導の最大の管理ポイントは部下が顧客を訪問した結果をふまえて、
「次をどうする」を考えさせ、指導することである。基本的に商談は回
を追うごとに進捗させなければならない。そのため、日報記載事項も時
間的な問題で必ずしも詳細に書くべきとは言わないが、なるべく第三者
が読んでわかるレベルで書かなくてはならない。
B同行営業によるOJT指導
営業担当者が客先でどのような商談活動を行っているかを確認したり、
自らやってみせて模範を示すのが同行指導である。
若い(または営業経験の短い)営業担当者の商談能力を見たいときはな
るべく営業管理職は喋らず営業担当者に任せて、ギリギリまで本人に話
しをさせてみる。そして、客先を出たら即その場で商談上の問題点や改
善点をフィードバックする。これを後回しにすると上司も部下も商談時
の印象が薄れ忘れてしまう。
4)営業部門の後継者問題と人材育成
最近、筆者がゼネコン各社に訪問すると営業担当者の後継者問題につい
て相談を受けることが多い。各社ともいわゆる団塊世代を中心としたベ
テラン営業社員が抜けた後の顧客や人脈などをどのように次世代に引き
継いでいくかと言うことが課題となっている。
営業担当者は工事部門と比べて人数も限られ、年代ごとに不足なく人材
の駒がそろっている事は少なく、この次世代への継承を難しくしている。
ゼネコン各社も最近ようやくこの問題に対処するために営業担当者に対
する教育機会を拡充しだしているところが増えてきている。
営業の世界は人間対人間の泥臭い世界であり、ただし本人の志ひとつで
これほど面白みのある仕事はない。営業管理職は自ら営業の世界に生き
ることの面白みを語り、そして次世代に夢を託してほしい。
営業管理職は自らOJTによって直接的に若手営業担当者を指導すると
同時に、プレーヤーとして実践する姿を後進に背中で語っていくことに
より人材が育ち、営業部門が真のプロ集団となることを願ってやまない。
問い合わせ先
(株)日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所
TEL 03(3950)1178 FAX 03(3952)0430
URL http://www.niccon.co.jp/kensetsu/
E-MAIL kensetsu@niccon.co.jp
ご質問にはお答えできない場合もございますのでご了承ください。
執筆者プロフィール
株式会社日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所
副部長コンサルタント 酒井誠一