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「建設業の経営と安全の大切さ」=第4回=「熱中症対策は万全か」

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6これから夏本番を迎えますが、建設業で働く人にとって気をつけなければならないのが「熱中症対策」です。
屋外での作業の多い建設業では、毎年20人前後の方が熱中症により亡くなっております。現場で朝礼の時に、熱中症の症状を作業員によく理解させ、認識させることが重要です。本人や周りの作業員が熱中症に気がつかずに対応が遅れて亡くなった例もあります。
作業中は必ず「日除けタレ」を使用し、熱中症の予防を必ず行いましょう。また、風通しの良い休憩所の設置や水分・塩分の補給も大切なことです。被災者を1人でも減らすために、現場を挙げて熱中症対策を浸透させ、この暑い夏を乗り切りたいものです。

1.現代病の熱中症災害を防ぐには
(1)熱中症死亡災害発生原因
新災害ともいえる熱中症死亡災害が激増しています。
この熱中症死亡災害は自然死ではありません。人間の最も悲惨な死の形の一つといえます。就労中の物理的災害死亡事故も非文明的ですが、暑さで死ぬことはもっと非文明的です。
この熱中症死亡災害は、大部分が建設現場で発生しています。ところが建設業界の取り組みは、その「予防に全力投球」とまでは至っていません。

(2)こんなことがいわれています
▽日本古来の日除け用具、丸傘・網笠・麦藁帽などの良さが置き去りにされている。
▽昔は、建設業・林業・農業・鉄道などでは皆麦藁帽をかぶっていた。
▽戦争中でも兵隊には後頭部を守る日除けが支給されていた。
▽お百姓さんは暑い時期、昼寝を慣習としていた。
▽地球温暖化で、気温が上昇していることも原因になっている。
▽今は日当を稼ぐための長時間労働がある。
▽休息抜きの継続労働もあるようだ。
▽休日抜きの継続労働もある。
▽栄養摂取不足も原因となっている。
▽暑さへの体の不慣れの場合に発症が多いようだ。
▽前日の飲み過ぎ、寝不足にも要因があるので気をつけよう。
▽ひとごとではない。いつ自分がなるか分からない。
▽各人が十分認識しなければいけない。

(3)熱中症の予防対策
@業環境管理
A できるだけ直射日光を遮ることができる簡易屋根を設ける(ブルーシートでも良い)。
B 作業場所に冷たい風を送ることができる設備を設ける。作業中に適当な散水をする。
C 作業場所の近隣に日陰をつくり、シャワーを浴びたり、横になって休むことができる場所を設ける。

A作業管理
A 気温条件、作業内容、健康状態などを考慮して、適当に休養または休憩時間を入れ、筋力がいる作業の連続作業はなるべく少なくする。
B 熱を吸収したり、熱が中にこもる服装は避け、汗を吸い取り、通気の良いものを着る。
C  直射日光の下では、通気性のよい帽子をかぶる。安全帽でも最近は通気孔を開けたものが市販されている。

B健康管理
A 健康診断結果をよく把握しておき、本人の健康状態に合った作業をさせる。
B 朝礼時に健康状態を観察し、本人に説明させて毎日の健康状態を知る。作業巡視を励行して作業中の健康状態を観察し、異常が起こっていないか、同僚同士で注意させる(目の玉確認をする)。
C 睡眠時間や栄養指導などの生活指導を行う。
D 水分や塩分の摂取について指導する。
E 診療機関を含めた緊急時の連絡網を整備しておき、異常者が出たときには涼しい所に移して身体を冷やし、水分や食塩を補給して医師を呼ぶなどの措置をとる。

C労働衛生教育
あらかじめ、高温環境下で就労するものやその監督者に、▽熱中症の症状▽熱中症の予防方法▽緊急時の救急措置(実習付き)▽熱中症の事例―を教育する。

全建経営指導センター 代表 天本武
TEL:03-5405-2641  FAX:03-5405-2642
URL:http://zenken-keiei.com  E-MAIL・a href="Fzenken@herb.ocn.jp">Fzenken@herb.ocn.jp
講演・企業指導・企業診断・社員研修等相談を承ります

※熱中症防止対策として各社で利用されているのが、保護帽に付ける「日除けたれ」です。近畿建設専門工事業教育情報センター(大阪市中央区島2-1-5 町川口末夫氏)は、熱中症防止用「日除けたれ」を1枚378円で販売しています。お問い合わせ・お申し込みは、電話06(4790)4580まで。

執筆者プロフィール

全建経営指導センター代表 天本武