建設業の「経営と安全の大切さ」(NO.6) ヒヤリハットを危険予知(KY)に生かせ
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労働災害は天災と異なり、ある日突然やってくるものではなく、不安全な状態(設備建物の要因)や不安全な行為(人の要因)、管理上の欠陥などが絡み合って発生するものです。これらの要因をあらかじめ排除すれば、労働災害は未然に防ぐことができます。
特に建設業の場合には、建設資機材の目覚しい改良と管理システムの改善が進んでいる中で、ヒューマンエラー(人)に関するものが労働災害の原因として多く見受けられます。
1.ヒューマンエラーの要因を挙げると次の通りです。
@ 無知:未経験、経験不足・教育不足
A 危険軽視:慣れ・悪習慣、集団欠陥
B 近道本能:省略本能、能率本能
C 場面行動:集中動作、行動エラー
D 緊急時の慌て:パニック状態
E 錯覚(外的・内的)
F 中高年齢者の機能低下
G 疾病などの肉体的条件の動作、行動エラー
H 単調作業反復動作による意識レベルの低下
これらの要因は、独立したものだけでなく、相互に関連して起こるケースが見られます。
2.「ヒヤリハット」をKY(危険予知)活動につなげる。
だれでも、工事現場で「ヒヤリ」としたり、「ハッ」とした体験があると思います。高所作業で転んで墜落しそうになったり、つまずいて転びそうになったり…。 こうした状態を一般に「ヒヤリハット」と呼んでいます。
安全な職場づくりには、作業メンバーによる危険予知(KY)活動が大切ですが、実際にはこのようなヒヤリハットを放置せず、KY活動にきちんと取り込む必要があります。 というのも、ヒヤリハット体験は、現場のどこに危険があるのかを教えてくれるからです。
ヒヤリハットが300回あると、軽い怪我が29回、重大事故が1回起きると言われています。
一度や二度ならヒヤリハットで済んでも、何十回も続けば、いつかは労働災害につながるものです。
ヒヤリハットに出会ったらすぐに報告書(図)を書き、みんなで対策を考えましょう。 「これぐらいならいいや」「今、忙しいから・・・」は禁句です。
3.KYTの実際(ヒヤリハットKYTとワンポイントKYT)
ヒヤリハットKYT(危険予知トレーニング)とは、ヒヤリハットメモを生かし、朝礼後の安全ミーティングなどの際に口頭で行う短時間のKYTです。
ヒヤリハットの状況をイラストにし、そのイラストに基づいて、
@ 現状把握(どんな危険があるか)
A 本質追求(何が危険のポイントか)
B 対策樹立(ではどうするか)
C 目標設定(対策はこれだ)
の4点について話し合います。
ワンポイントKYTも安全ミーティングなどで手短に行うKYTです。
ただし、ヒヤリハットの事例ではなく、その日の作業内容を取り上げて、上記@〜Cを話し合い、ボードにまとめます。
どちらのKYTでも、上記の本質追求と目標設定では、「危険のポイント」と対策を一点に絞り込んでください。というのも、話し合いでいろいろな意見が出ると思いますが、「なんとしても避けたい危険」にポイントを絞った方が、より効果的だからです。
4.指差し称呼で確認ミスをなくす
どんな仕事も、確認・判断・操作の三つからできています。この中でミスが特に多いのは確認の部分です。その割合はミス全体の7割と圧倒的です。
言い換えれば、確認ミスさえなくせば事故や災害はかなり減ることになります。
実際に「うっかり」「ポカ」のほとんどはこの確認ミスによるものです。
確認ミスを防ぐ手段としてよく知られているのは「指差し称呼」です。作業開始時や休憩後、あるいは作業の各ポイントできちんと「指差し称呼」を行えば、確認ミスは実に3分の1〜6分の1に減ってしまうといわれています。
なぜ、「指差し称呼」はこんなにも効果的なのでしょうか。「指差し称呼」は、「操作」→「指差し」→「発声」で一組になっています。
操作だけでは人間の注意力はごく一部しか働きません。これに指差しと発声を加えると、視覚・聴覚などの五感がフルに働き、注意力のレベルが一気に高まりミスを防ぐのです。
全建経営指導センター 代表 天本武
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全建経営指導センター 代表 天本武