建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞。[建設専門紙]

これで解決!問題社員の労務トラブル 〜会社も安心!社員も納得!〜 =第10回=「休職・復職ルールを見直してみる」

いいね ツイート
0

休職制度は、病気にかかり長期療養が必要となった場合でも、「一定期間は社員としての身分保証をしながら就労義務を免除すること」を会社が認める制度です。この制度は、労働基準法上で必ず定めなければならないと義務付けられているものではなく、会社が任意に取り決めて運用するものです。

通常は、本人に原因がある病気での休職だけでなく、家庭の事情によるもの、関係会社等への出向時を休職扱いにするとき、社員が何かしらの事件で起訴されたときの起訴休職など、休職となる理由を複数設定します。

社員の側からすると、休職制度があれば、病気で長期療養が必要となったときでも会社を辞めずに療養に専念することができる安心感があります。
会社側からすると、社員が病気にかかり長期療養が必要となっても、休職制度があれば、病気回復後にはまた働いてもらえるわけですから、休職期間中の人員補充ができれば、新たに採用する必要もなく、また優秀な人材を失うこともありません。

■休職期間はどの程度?
休職期間は会社の規模や体力に応じて設定すべきです。
社員数が少なく・企業体力もあまりない会社で、休職期間が2年や3年となっているものがありますが、これではせっかくの休職制度が無駄になりかねません。なぜ2年や3年といった期間としているのか、明確な理由があるのなら構いませんが、大半は他社の就業規則が「2年になっていたから…」というのが理由です。

長期の休職期間では、いつ社員が復職できるのかタイミングが分かりにくく、その間の人材確保も容易ではなくなります。また休職期間中の人件費が余計にかかるだけです。
会社の方針にもよるでしょうが、新たな人材を採用することなく業務を担当できるのは、中小企業では3ヶ月〜6ヶ月程度がせいぜいではないかと考えます。

■復職ルールはしっかり・きっちり
休職制度がある以上は、復職させる制度も必要です。
復職では、復職時は休職前の業務に就かせる、本人の病気による休職だったときは医師の診断書を提出、休職できなかったときは退職扱いとなる、といったルールを通常設定します。

本人の病気が理由で休職していた場合は、復職にあたり、業務についても問題ない程度まで健康になったと証明できるよう、医師の診断書を提出させることが通常行われます。復職できずに退職となることを避けようと、復職が可能であるような診断書を提出し復職しようとする場合もありますので、一度復職した社員が一定期間内で再度休職できないよう制限を設けることも必要です。

医師の診断書は、あくまでも会社が復職可能か判断するためのものです。内容によっては会社が指定する医師の診断や、産業医の意見も取り入れて判断するようなルールにしておくべきでしょう。

執筆者プロフィール

成澤紀美(スマイング取締役、社会保険労務士)