これで解決!問題社員の労務トラブル 〜会社も安心!社員も納得!〜 =第13回(最終回)=「労務トラブルをなくし社員が辞めない強い会社に」
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100年に一度の不況といわれる昨今では、「社員が辞めない会社」というよりも「社員に辞めてほしい会社」が増えてきているようです。
業績が厳しいから社員に辞めてほしい、というのも分からなくはないですが、やはり「社員が辞めない会社」が不況下でも着実に業績も伸ばしているのではないでしょうか。
せっかく採用した社員がすぐに辞めてしまう、社員の定着率が低い、最近社内の雰囲気が良くないような気がする・・・。社員がすぐに辞めてしまう会社には、何かしらの理由が必ずあります。
社員が会社に求めるものは人それぞれでしょうが、一番求めるものは「仕事にやりがいを感じ、安心して働けること」でしょう。
仕事のやりがいを感じるには、その仕事が好きかどうかも大事な要素になります。しかし会社では、自分の好きな仕事ばかりを選んでできるわけではありません。
社員側からすれば、与えられた職責や仕事から自身の必要性を見出し、達成できる目標に向かって仕事を進めていく楽しみや、やりがいを感じられるかどうかにかかってきます。
会社としては、組織構成と各人の適性をみながら、社員個々が持っている力を発揮してもらえるような配置を考え、仕事を与える必要があるでしょう。
また組織という点では、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)ができている、ホウレンソウがしやすくなっているという組織が、労務トラブルも少なく、社員も自身の立場や職責に納得している傾向が高いようです。
ただ、いくらやりがいのある仕事を与えられていても、いつ会社が倒産するか分からない、まともに給与が支払われない、いつ転勤になるか分からないでは、落ち着いて仕事に打ち込むことはできません。また自分や家族の健康問題など社員の個人的事情により、仕事はどうなるんだろう? 今の会社は何かサポートしてくれる制度があるだろうか? と不安になることもあります。
このような時に社員が安心して働ける制度があれば、社員の離職を事前に防ぐことができますし、会社に対して信頼感も増してきます。
単に居心地が良く楽な会社であるというものではなく、何かあったときに安心して会社に相談できる仕組みや、福利厚生があるということも社員に安心感を与え、社員の定着に影響を与えます。
一方で、いくら仕事にやりがいを感じ安心して働ける会社であったとしても、あまりにも低い給与では、会社は自分をどう評価しているのかと不安になります。
社員にとっては、自身の評価とも結びつく給与への関心は当然にもっていますし、お金の問題ですから、ひとたび問題が生じると信頼関係にも影響してしまいます。
会社としては、基本給に対する考え方、残業代などの割増賃金の支払い方法、他にも住宅手当・家族手当など一定の条件下にある諸手当の活用など、人件費コストの面から余計なコストが発生しないような給与体系になっていること、社員からみれば自身の評価が反映されていると納得できるような給与体系であることが、お互いの信頼関係を高めるものとなります。
労務トラブルを起こさず社員が辞めない強い会社は、社員が活き活きと働ける場を作り提供している会社であり、その場を与えられた社員が仕事を楽しんでいる会社といえそうです。
執筆者プロフィール
成澤紀美(株式会社スマイング取締役、特定社会保険労務士)