「中小建設業の事業再生の考え方・進め方」第1回 ことばの定義その1
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今回より新シリーズのはじまりです!
テーマは「事業再生」。
きっと、読者の皆様も、少なくとも耳にしたことくらいはあるのではないでしょうか?
ともあれこの「事業再生」、読んで字のごとく、「事業」を「再生」させる諸活動のことなのですが、とかくそのイメージや定義、内容については個人差があったり、誤解があったり、という部分が多いものです。
ですので、まずは私がこれまで専門家として6年超、類似業務も含めると10年超、携わってきた中で、自分なりに理解、認識している「事業再生」について整理、ご説明することからはじめたいと思います。決して「正しい定義」というわけではありませんし、そもそもそんなものはないと思っていますので、「大熊流・事業再生の勝手な定義」とでも思って頂ければと思います。
まずは、単純に単語の定義から入ります。
「事業再生」と似たことばに「企業再生」とか「産業再生」「地域力再生」といったものを耳にされることもあると思います。みんなそれなりに近い概念をもちあわせている部分もあり、特に「企業再生」とはかなり近く、それゆえにその相違部分を浮き彫りにすることが、理解するのに手っ取り早いでしょう。
企業再生は「企業」を「再生」させる諸活動です。ですので「企業」が「企業」として命をとりとめ、復活していくことが重要です。もうちょっと突き詰めると「企業」というハコが重要ということです。
でも、ハコなんかなくなっても、中身の商売だけでも命をとりとめ、復活に向かっていければ、結果はそんなに違わないはずですよね?であれば中身の商売だけ「再生」させることを考えましょう、というのが「事業再生」の大きな概念です。人の体にたとえれば(ちょっとグロテスクでごめんなさい・・)、骨格や肉はそっくり変わったとしても、脳や臓器がそのままなら、結局その人は生き続けている、といえますよね? ということです。
ですので、純粋な「企業再生」よりも自由度が高い中で、実質的に事業を再生しやすい、ということになり、場合によっては「臓器移植」のごとく、コアとなる事業部分のみを摘出して再生させていくようなこともでてくるのです。
その他類似概念として、「産業再生機構」でおなじみの「産業再生」はひとつの企業や事業のみならず、その集合体である産業全体の再生を目的としていますし、「地域力再生」となれば、単に事業の問題のみならず地域経済全体の再生を目指すものとなり、いずれの場合もその過程のひとつとして「事業再生」が位置づけられる、という具合です。
このように、ちょっと似たものと比較すると、わかりやすくなるのではないでしょうか。
執筆者プロフィール
中小企業診断士 大熊康丈