建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞。[建設専門紙]

海釣りから建設業の戦略的マーケティングを考える(2)

いいね ツイート
0

 戦略的なマーケティングの第1ステップは、環境分析である。環境とは、外部環境(市場と競合企業)と内部環境(自社の経営資源)に二分される。
釣りで例えると外部環境は、
どの魚がどのエリアで、どれだけ釣れているか
新たな釣り具は出ているか
船宿の混み具合はどうか
といった情報である。
例えば、近年ではイカが釣れていない、マダコが増えているなどは市場の情報に類するし、真鯛を疑似餌で釣るタイラバ釣法の流行や、カワハギ釣りでハリスの位置やハリ形状を容易に交換できる幹糸仕掛けの普及などは、市場の技術動向に類する。また、船宿の混み具合などは、他の釣り人が多いという意味では、競合状況に例えられよう。
一方で内部環境を釣りで例えると、
・どのような釣りをした経験や技術があるか
・どのような竿、リール、仕掛けなどの道具を持っているか
といった情報である。
例えば、イカ釣りのような扱いが難しい仕掛けを扱えるか、コマセ釣りなどでうまくタナを取れるか、などといった経験・技術的な要素や、自分が持っている竿の調子、錘負荷、長さ、リールの種類(電動、両軸、スピニング)などの道具のバリエーションなどである。
社内外から収集した内部・外部環境の情報から戦略の方向性の検討するために、よく使われるフレームワークがSWOT分析である。SWOT分析では、内部環境を「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」、外部環境を「機会(Opportunities)」「脅威(Threaten)」に切り分けて整理する。この4つの要素の頭文字を取り、SWOT分析と呼ばれる。それぞれの要素の具体的な説明は、下表をご覧いただきたい。次回のコラムでは、SWOT分析から戦略の方向性を導くための具体的な方法について説明する。

執筆者プロフィール

齋藤昭彦

齋藤昭彦
株式会社日本コンサルタントグループ 建設産業研究所 経営コンサルタント 齋藤 昭彦  学卒後、株式会社内田洋行入社。首都圏第2営業部にて公共・大学営業担当、のち金融営業部にてメガバンク営業担当。2014年公益財団法人さいたま市産業創造財団へ入職。創業・経営改善支援担当、医療・国際展開支援担当、オープンイノベーション推進チームリーダーなどを経て日本コンサルタントグループ入社、現在に至る。