あいち銀行が誕生 愛知県NO.1へ
2025/1/7 中部版 掲載記事より
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あいち銀行/伊藤行記頭取
「あいち銀行」が誕生―。合併に向けて地域が抱えるさまざまな課題、問題を解決へ導けるようにコンサルティング・ソリューション型ビジネスモデル≠ノ求められる社員像を掲げ、人財の創出・育成に注力してきた。「合併で生まれる人財≠ヘ、サービスの幅を広げ、質の向上につながる」と話す、伊藤行記頭取に新生「あいち銀行」に掛ける思いを聞いた。
■あいち銀行が発足、新たなスタートの抱負
2025年1月1日に愛知銀行と中京銀行が合併し「あいち銀行」が誕生した。この「あいち」という社名/行名には、『私たちの主な営業基盤である愛知県を大切にし、ともに成長していくことで「愛知県bPの地域金融グループを目指す」という想い』を込めている。愛知銀行と中京銀行が経営統合し、あいちフィナンシャルグループ(FG)を設立した時から、コンサルティング・ソリューション型ビジネスモデルの確立を目指してきた。地域社会や地域の皆さまが抱えるさまざまな課題解決にお役立ちしていく。経営理念の中のバリューの一つとして掲げている「全てのお客さまのお役に立てる金融サービスの提供」に努めていきたい。
FG第1次中計では、ゴール=「あいち銀行」スタート時までに成し遂げていることとして、「お客さま・地域」「社員」「株主」の3つの視点から掲げ、これまで取り組みを進めてきた。
◇お客さま・地域/お客さまにダイナミックな進化を体験していただけるコンサルティング・ソリューション型ビジネスモデルの準備完了
◇社員/コンサルティング・ソリューション型ビジネスモデルでの新しい社員像の確立と必要人財数の創出・育成完了
◇株主/合併後のシナジー発現に向けた主要KPI(重要業績評価指標)の着実な達成
コンサルティング・ソリューション型ビジネスモデルに求められる人財像への社員の大規模シフトには特に注力してきた。ぜひとも地域の皆さまには、新しく生まれた「あいち銀行」にご期待いただきたいと思う。
■合併に向けた準備、注力した人財創出≠ニは
同じ地域を地盤としている両銀行だったが、重複する企業は意外に少なかった。しかし、混乱が生じないように融資先に主管銀行を選択してもらい、融資額を減らすことなく集約する準備を進めてきた。FG第1次中計でもっとも注力してきたメインテーマは人財創出=B社員一人一人がお客様に寄り添えるように、コンサルティング・ソリューション型ビジネスモデルに求められる4つの人財像への大規模シフトに取り組んだ。全社員に何か一つ学ぶことを求め、ファイナンシャルプランナーや中小企業診断士に加え、税理士や公認会計士などの高度な資格の取得を目指すアグレッシブな社員もおり、大きな期待をしている。
また、この取り組みから、合併して再編後、そこから生まれる人財で、新しいサービスが展開できる。これまで手が届かなかったサービスにまで幅を広げ、強化できるはずだ。また、再編に伴い店舗は集約するだけではない。これまで行き届かなかった地域への出店も今後は考えていきたい。
■愛知県1の地域金融グループとしての役割
社名/行名に込めた想いでもある「愛知県1の地域金融グループを目指します」という言葉は、経営理念の中のミッションとしても掲げている。これは経営統合、合併を経て、単に店舗網や預金量・融資量などのボリュームがbPになるだけではなく、「いつもお客さまのいちばんちかくで、この地域でいちばんに相談できて、いちばん頼りになるパートナー」となることが真の意味である。預金、融資、為替といった従来からのいわゆる銀行業務について、お客さまからのご相談に対応していくことが中心であった時代から、最近では、地域やお客さまが抱える課題は資金に関することのみならず、資産形成、人材確保、デジタル化、事業承継、カーボンニュートラル、サステナビリティ経営など、多様化・高度化している。こういった課題や悩みに対し、適切なソリューションやコンサルティングを提供していくことで、愛知県bPと評価される金融グループをめざしていく。経営統合・合併により生み出されたリソースを充分活用し、しっかりと地域経済を支えていきたい。
■愛知県の経済環境、金融機関における競争環境や課題について
景気は全体感として見れば、緩やかに回復基調にあると捉えている。金利のある世界に戻り、デフレからの完全な脱却や持続的な経済成長の兆しも見られる。愛知銀行、中京銀行の取引先に行ったアンケート調査でも、向こう1年間の業況見通しを「横ばい」もしくは「改善」と回答した企業は8割を超えている。しかしながら、原材料やエネルギー価格の高止まり、物価高に伴う賃金上昇、慢性的な人手不足など、当地区の中小企業にとって厳しい経営環境は続いている。物価上昇に伴うコスト増加分の価格転嫁が進まないことに加え、今後の金利上昇により企業業績に影響が及ぶことも考えられ、取引先に対しては資金繰り支援のみならず本業支援として、例えば販売先の拡大やコスト削減、人材確保につながるようなさまざまな提案を、しっかり行っていく必要があると考えている。
金融機関においては依然として厳しい競争環境にある。製造業を中心として経済基盤は強固であり、人口減少も比較的緩やか。2026年のアジア競技大会・アジアパラ競技大会の開催、リニア中央新幹線開業に向けた名古屋駅のスーパーターミナル化など、大きなプロジェクトも数多く控えている。全国的に見れば恵まれた肥沃なマーケットであるが故、メガバンク、県内および隣接県の地銀、県内信金との競争に加え、他府県の地銀からの攻勢も依然として強い。そうした中で、地域や地域のお客さまから選ばれるためには、やはりコンサルティング・ソリューション型ビジネスモデルを確立させる必要があり、それに必要な人財の育成には今後もこだわっていく。
■事業計画、目標、店舗の再編などについて
あいちFG第1次中計では経営統合後銀行合併までの主要KPIを設定しているが、おおむね達成の見通しとなっている。トップラインシナジーKPIとして戦略人財創出数目標450人に対し、2024年9月末時点で492人に到達した。
内訳として、お客さまを深く理解し課題を見つけ、課題解決を支援できる「営業店プロフェッショナルRM」を225人、高度な専門性や課題解決力、豊富なネットワークや高い営業力を持つ「本部ソリューションエキスパート」を75人、社内業務の非効率性を発見し、生産性向上に向けた実行力やDXスキルを持つ「業務改革社内コンサルスタッフ」を58人、事業環境の変化に応じて拡大される新業務軸で戦略人財として活躍できるよう、時代に即したスキルを機動的にマスターしている「戦略リスキリング人財」を134人創出できている。
コストシナジーKPIである店舗再編計画数40〜50店舗について、再編計画の策定は完了しており、FG2次中計期間に近隣店舗再編を中心に実施していく。そして再編で集約した店舗は、サービスの幅、質の向上に生かすように利活用していく方針だ。また、合併で社員数は2000人を超える。本店機能の強化も必要となることから、老朽化している本店は将来的には建て替えすることも想定している。
基盤強化KPIは、中小企業等貸出残高増加額目標3000億円に対し、2024年9月末で3537億円に到達。中小企業取引メイン先増加数目標1000先に対し、2024年9月末で771先を増加できた。ソリューション提案増加件数目標650件に対し、2024年9月末で792件に到達している。
また、FG1次中計におけるトップライン目標についても順調に推移している。貸出金利息目標360億円に対し、2024年3月末で360億円と到達済み、2024年9月末時点では187億円の進捗となっている。役務収益は目標160億円、うちソリューション関連手数料39億円に対し、2024年3月末で156億円、うちソリューション関連手数料は40億円と目標超過。2024年9月末では役務収益85億円、うちソリューション関連手数料は26億円の実績となっている。
現在、FG2次中計を2025年4月〜2028年3月までの3年間を計画期間として策定中であり、テーマ、基本戦略、KGI(重要目標達成指標)について決定した。
◇テーマ「銀行業を超えたトータルサポートグループ」
・FG1次中計で進めてきた統合シナジーの創出や戦略人財の創出・育成をさらに推進するとともに、グループ全体でコンサルティング・ソリューション型ビジネスモデルを深化させていくことで、競合する他行に秀でた金融グループになることを目指す。2次中計では統合シナジー80億円を創出する。FG3次中計では統合・合併シナジーを100億円以上に最大化させる。
◇基本戦略
・2次中計では内外環境を踏まえ、コーポレートスローガンである『あなたの、いちばんちかくで。』を体現するとともに、2次中計テーマの実現に向け3つの基本戦略を掲げる。また、3つの基本戦略を推進することで5つのマテリアリティ(重要課題)の達成を目指す。
@コンサルティング・ソリューション型ビジネスモデルの深化(顧客のメイン化)
Aグループ経営基盤の強化
BDX戦略の加速化
5つのマテリアリティ/「地域社会繁栄への貢献」「金融サービスの高度化」「環境保全対応」「従業員エンゲージメント向上と多様な人材の活躍推進」「ガバナンスの向上」
◇KGI
・連結当期純利益150億円以上
・ROE(コア資本ベース)5.0%以上
・コアOHR(経費率)70%未満
・連結自己資本比率9.0%程度
■注力する新規事業、新たな取り組み
経営統合後、2024年4月にIT事業会社としてAASTグループ4社を子会社化、2024年8月に広告会社としてあいちFGマーケティングを設立した。AASTグループについては、8月より銀行と連携して「デジタル化診断サービス」を開始し、内閣府からも「地域デジタル化支援促進事業」の間接補助事業者として採択された。これによりお客さま向けのサービス展開については体制を整えることができたと考えている。すでに法人のお客さまより何件か相談を受けており、話を聞いていくと大手IT会社では対応してもらえないようなシステムに関する相談が多く、ITに関するお客さまニーズはあると考えている。今後、あいちFG内のデジタル化・DXについては、FGの第2次中計の中で進めていきたい。
あいちFGマーケティングについては、8月に設立したばかりであるが、まずはハウスエージェンシーとして、銀行合併時の広告などの企画を行っており、お客様向けのサービスについても一部取り扱いを始めた。引き続き、合弁先の総合広告会社である新東通信の知見を活かし、当社グループの主要なお取引先である中小企業のニーズに合致するような広告の取組みについて検討していく。
加えて、10月に愛知銀行の100%子会社であった愛銀リースをあいちFG直接保有の完全子会社とした。また、11月には愛知銀行の投資専門子会社である愛知キャピタルの本社を、日本最大級のオープンイノベーション拠点である「STATION Ai」へ移転した。スタートアップも含め、投融資等の金融支援、ビジネスマッチングや人材支援をはじめとする非金融支援とも強化していく。さらに、2025年1月に銀行合併し、組織の効率化を通して人的リソースも生み出されることから、既存のグループ会社の強化を図るとともに、金融との親和性があり、当社グループのお客さまのニーズが高い分野への進出を検討している。
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