予算制約で「数量減」「打ち切り」
2025/4/30
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日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が会員企業を対象に調査したところ、設計変更が行われた国発注の道路・河川工事の4割で契約段階の工事数量減少や工事の打ち切りが発生していたことが分かった。労務費と資材価格の上昇に伴って変更契約を結んだ後、予算が制約となり、計画していた出来高をこなせない事業が増えている。
日建連の調査に対し、会員企業が2023年10月から24年9月に完成した国直轄の道路・河川工事181件の実態について回答した。
調査結果によると、この期間に設計変更が行われた現場のうち、40%で当初契約段階の工事数量を減少させていたり、工事の打ち切りが発生していた。前年度の同じ調査では36%の工事で数量減や打ち切りが発生しており、4ポイント上昇している。
工事数量の減少や工事の打ち切りが発生した要因を聞くと、「発注者の予算制約のため(拠出可能な予算がなくなった)」との回答が29%で最多。「発注者の予算繰り越しが認められなかったため」との回答も11%あった=グラフ参照。
当初予算ベースの政府の公共事業費は、過去10年間にわたって約6兆円で推移しており、スライド条項の活用などによって契約変更した工事では、契約時点で想定していた出来高に達する前に予算が不足するケースが増えている。受注者側から見ても、工事数量の減少などがあると、調達していた資材や人員にロスが生じる恐れがある。
ここ数年の労務費・資材価格の上昇により、特に公共事業で実質的な事業量の減少を懸念する声が広がっている。公共事業予算は横ばいで推移しているものの、建設工事費デフレーター(建設工事費の名目工事費額を基準年度の実質額に変換する指標)の伸び率は、過去3年の平均で5%の伸び率で推移している。基準年度の15年度と比べると、23年度までに23・3%上昇している。
国土交通省の地方整備局では、工事契約件数の減少が顕著に進んでいる。23年度の1件当たりの当初契約金額は19年度と比べ11%上昇したが、工事契約件数は21%減少している。
日建連は今回の調査結果を踏まえ、国土強靱化実施中期計画で現行の5か年加速化対策を上回る予算を確保するとともに、補正予算で予算を追加した際に部分払いを可能にする「事業加速円滑化国債」の活用を拡大し、適切な規模・工期を確保するよう、国交省に求める。
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