三重県の土砂災害対策
〜地域の安全・安心を支えています〜
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全国的に集中豪雨が増加する中で、三重県でも2011年9月の「紀伊半島大水害」など、毎年のように豪雨による土砂災害が発生しており、土砂災害危険箇所の解消など土砂災害への対策が急務となっている。そこで、土石流対策として進める三重県の砂防えん堤工事や急傾斜地崩壊対策工事の状況などに焦点を当てた。
土砂災害対策に対する方針と目標
三重県では、土砂災害から県民の生命と財産を守るため、砂防設備や急傾斜地崩壊防止施設などの整備に取り組んでいますが、整備率としては15.7%にとどまっており、未だ不十分な状況にあります。
また、近年、全国的にも多発する土砂災害により尊い人命が失われており、施設整備をさらに進めるとともに、市町が行う警戒避難体制の整備への支援などソフト対策の取り組みを推進することが重要と考えます。
施設整備については、現在、紀伊半島大水害により被災した箇所について、再度災害防止を図るため緊急的に取り組むとともに、予防・防災の観点から災害時要援護者関連施設を保全する箇所や避難地・避難路を保全する箇所などを優先箇所として行っています。
さらに、土砂災害のおそれのある区域を明確にし、市町が行う警戒避難体制の整備への支援、強化を図るため、土砂災害防止法に基づく基礎調査や土砂災害警戒区域等の指定を加速させ、これらのハード事業とソフト事業の両輪で土砂災害対策に取り組んでいきます。
土石流災害から生命と財産を守る砂防事業は、11年9月の台風12号による被害が著しかった熊野市の上大長田谷、南牟婁郡紀宝町の大和田川や、近年土石流が頻発しているいなべ市の小滝川や西之貝戸川、災害時要援護者関連施設の保全を進める松阪市の金剛川水系山室―2など、35渓流で実施しています。
14年度には、度会郡大紀町の武士谷川において事業が完了します。
急傾斜地の崩壊による災害から生命と財産を守る急傾斜地崩壊対策事業は、北牟婁郡紀北町紀伊長島区の長島地区や、津波浸水予測区域内の急傾斜地崩壊危険箇所における避難施設や避難路を保全する度会郡大紀町の浅ケ谷2地区など、21カ所で実施しています。
14年度には、度会郡大紀町の浅ケ谷2地区において事業が完了します。
11年9月の台風12号による豪雨により熊野市、紀宝町を中心とした大規模な土砂災害により、行方不明者1名、全壊26棟、半壊7棟などの被害が発生しました。
このため、三重県では、熊野市の上大長田谷、紀宝町の大和田川、津市の所谷川など8渓流において、11年度から災害関連緊急砂防事業、砂防激甚災害対策特別緊急事業および特定緊急砂防事業にて砂防えん堤の整備を進めています。
14年には、熊野市の紺屋地谷、茗荷古、紀宝町のジャングの谷において事業が完了する予定であり、引き続き、残る渓流についても、地域の安全・安心を確保するため、早期完了を目指します。
14年8月の広島県の豪雨による土砂災害では、土砂災害防止法に基づく区域指定がなされてなかったことがクローズアップされ、危険箇所の周知の観点から土砂災害警戒区域等の指定促進が求められています。
三重県における土砂災害警戒区域等の指定状況ですが、土砂災害危険箇所が16208カ所存在しており、それらを対象に土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域の指定を進めています。
14年9月末での指定状況は、土砂災害警戒区域が3077カ所(指定率19・0%)、土砂災害特別警戒区域が2796カ箇所(指定率17.3%)において区域指定を完了しています。14年度においては、さらに松阪市、尾鷲市、四日市市、熊野市などで約1800カ所の土砂災害警戒区域等の指定を行うこととしています。
また、基礎調査については、14年度は、いなべ市、熊野市、紀宝町など13自治体で約900カ所の調査を実施することとしており、調査結果についても、速やかに住民の方々に示していきます。
しかしながら、土砂災害警戒区域等の指定率としては全国に比べまだまだ低い状況であり、今後、区域指定を加速させるべく、基礎調査の推進に取り組んでいきます。
また、指定された後は、住民への周知や警戒避難につなげることが重要であることから、市町が行う警戒避難体制の整備への支援も進めます。
三重県では、大雨による土砂災害発生の危険度が高まったとき、市町長が避難勧告などを発令する際の判断や住民の自主避難の参考となるよう、津地方気象台と共同で「土砂災害警戒情報」を発表しています。
土砂災害は一瞬にして、尊い生命や家屋などの貴重な財産を奪うなど、甚大な被害をもたらします。
土砂災害の被害を防ぐためには、一人ひとりが土砂災害から身を守れるように備えておくことが重要であり、そのために知っておくべき、ポイントを紹介します。
(1) 日頃から土砂災害ハザードマップ等で、住んでいる場所が土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域等かどうか、避難場所、避難経路はどこかなどを確認する。
(2) 雨が降り出したら、土砂災害警戒情報等に注意する。
(3) 早めに避難する。避難所に行けないときは、家の中のより安全な場所に移動する。
また、土砂災害警戒情報などが発表されていなくても、斜面の状況には常に注意を払い、普段とは異なる状況に気がついた場合には、直ちに周りの人と安全な場所に避難するとともに、市町などに連絡してください。
「三重県土砂災害情報提供システム」では、土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域等の位置、土砂災害警戒情報に伴う土砂災害危険度情報などが確認できます。
「三重県土砂災害情報提供システム」 http://www1.sabo.pref.mie.jp/mie_gis/G_genkyozu.html
土砂災害から人命を守るためには、早めの判断・早めの避難が重要であり、防災部局、市町等と連携し、警戒避難体制の整備を図っていくことや、広報活動や防災訓練を通じて、土砂災害に対して、より関心を持ってもらえるような啓発に努めていきます。
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