三重県では、男女が共に働きやすい職場環境づくりに向けて、積極的に取り組む企業を応援するため、「男女がいきいきと働いている企業」の表彰制度を2002年度から、認証登録制度を10年度から実施している。10年度からの5年間で、認証企業数は延べ306社にのぼり、その大半を建設産業関連企業が占めている。今回は、4月1日から15年度の募集を開始する三重県雇用経済部雇用対策課に同制度の概要やポイントを聞くとともに、認証企業のうち知事表彰を受賞した企業に意欲的な取り組みについて語ってもらった。
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三重県 男女がいきいきと働いている企業認証制度
〜働きやすい職場環境づくりの構築〜
三重県雇用経済部雇用対策課に聞く
三重県では、男女がともに働きやすい職場環境づくりを目的に、休暇の取得促進や残業時間の削減に取り組み、育児や介護をしながら働き続けられる職場づくりや男女が能力を発揮できる職場づくりなどを積極的に推進する企業などを「男女がいきいきと働いている企業」として認証、さらには表彰する制度を実施しています。これらの事例は、「働きやすい職場づくり」に積極的に取り組まれている企業などを広く募集し、優れた取り組み事例を紹介することで、男性も女性もともに働きやすい職場づくりを広めようとするものです。
02年度から「男女がいきいきと働いている企業」三重県知事表彰制度を実施してきましたが、10年度からは、より多くの企業などの取り組みを支援するために、この表彰制度に加え、認証制度を創設しました。
5年間で延べ306社(15年3月現在)です。このうち、建設産業関連は約8割を占めています。ベストプラクティス賞などの受賞者は延べ47社です。
調査項目として、@働きやすい職場環境づくり(所定外労働の削減のための工夫、年次有給休暇の計画的な取得推進)A仕事と家庭が両立できる職場環境づくり(産前・産後休業期間が法律を上回っている、男性の育児休業取得の推進)B女性の能力活用・男女共同参画(女性の正規職員の割合の増加、社員の知識・資格取得を支援する制度)―などがあり、一定基準の点数以上で認証を決定します。認証期間は、認証日から原則、2年半です。
@「社会的な信頼性の向上、優秀な人材の確保が期待」―県のホームページ、広報誌などにより認証・表彰企業の取り組みを紹介します。
A「企業のイメージアップ」―認証・表彰企業であることを意味するそれぞれのシンボルマークを名刺やパンフレットなどに活用できます。求人情報に認証・表彰企業である旨を記載することができます。
B公共工事の総合評価方式の評価項目の一つ―「男女共同参画」の観点として、一定の期間加点対象となります。物件関係のうち、清掃、警備などの業務についても総合評価一般競争入札の評価項目の一つとして、一定の期間加点対象となります。
C資金の貸付―商工組合中央金庫(商工中金)と県が連携して創設した「三重県男女がいきいきと働いている企業応援貸付」が利用(審査あり)できます。
認証企業から提出してもらう「認証取組状況報告書」から、14年度の取り組み状況を一部抜粋しますと、「ノー残業デーの実施などにより、時間外労働時間数が減少した」「休暇を半日、時間単位で取得できるように改善した」「女性従業員を新たに雇用した。また、女性技術者を現場に配置するなど職域拡大を行った」「資格取得費用の補助を行うこととした」―などが挙げられます。
知事表彰企業が語る
08年度に「選考委員会奨励賞」、翌09年度には「グッドプラクティス賞」、そして14年度、最高の栄誉である「ベストプラクティス賞」に輝いた。「できることをコツコツと重ねてきただけです」。経理事務として一般採用枠から入社し、たたき上げで常務取締役となった垣本美和さんは謙虚に話す。
働きやすい職場環境を整えるため、先進企業の取り組みを勉強したり、フレンテみえで開かれる交流会や講座に何度も足を運んだりした。足りないものを自らの肌で実感し、一つ一つ実現させてきた。男性社員の育児休業取得を後押しする“育休キャンペーン”や、育休を取った社員の奥さまに対する赤ちゃん用品プレゼント付きの“育休アンケート”などは女性ならではの配慮から生まれた優しい心遣いであり、「子育てしやすい会社風土」を築き上げた。
工事部、経理部、営業部の3部門全てに女性が配属されている。工事部の女性技術者は2年弱の産前産後休業と育児休業から現場に復帰し、時短勤務で家庭と仕事を両立させている。
「仕事が楽しい、山下組で働いて良かったと思える職場をつくり上げていきたい」。13年度に「グッドプラクティス賞」に輝いた山下組の山下信康社長は語る。
同社は、女性社員の能力開発と登用に積極的に取り組んでおり、現在、2級建築施工管理技士を持つ女性を現場監督として採用している。また事務員として13年に入社した女性アルバイトを、ことしから正社員に登用した。
働きやすい職場環境を目指し、事務所にロボット掃除機を導入。従業員の掃除の手間を省きつつ、きれいな事務所で働けるように配慮した。また、事務所を見渡すと、ブタやカエルをかたどった、かわいらしい加湿器や高性能な音楽プレイヤーが設置されており、快適な職場づくりへの熱意がうかがえる。
山下社長は、「建設業は他業種と比べ従業員の資格取得支援に抵抗がない。スキルアップが具体的に『資格』という形で見えるのは建設業の強み」と話し、「今後は女性の技術者の育成に力を注ぎたい」と目標を力強く語る。
13年度に「グッドプラクティス賞」に選ばれ、「女性の継続就業支援」と「働きやすい職場づくり」を掲げ、女性社員の職域の拡大を目指している。勤続24年目を迎え、現在、伊勢製作所内の営業事務を担当する山下美香さんは、小学3年生と5年生の娘の登下校に合わせ、短時間勤務制度を利用している。短時間勤務制度については、小学校3年生までの子どもを持つ社員に適用されていたが、ことしから小学校6年生までに範囲が広がった。「社員の『働き続けたい』という意思を尊重してくれる会社」と笑顔で語る。
また、同社では、社内結婚の場合に転勤となる際、夫婦での転勤を考慮するほか、「転勤休暇」という賃金補償100%の特別休暇を設けている。伊勢製作所総務部の橋本京子グループ長は、「夫婦で仕事を継続してもらうことは人材の充実にもつながる。また、うれしいことに男性社員についても、出産休業の利用が増えてきている。制度を積極的に利用し、家庭と仕事を両立してもらえれば」と話す。
育児休業から復帰した女性社員を中心に4人の女性社員で立ち上げた「あしたば事業部」。11年度の三重県知事表彰(グッドプラクティス賞)では彼女たちが取り組んだ商品開発が評価された。
約1年半の期間を要して開発した地元大台茶を使ったフェイスパック「奥伊勢小町」は、製造委託先を探すことから始まり、交渉など全てが手さぐり状態での活動だった。本業務の合間を使いながら試行錯誤を続け、試作品は実際に自分たちで使用してみて肌にやさしいものづくりを目指した。通信販売用のホームページも自分たちで制作するなど、商品開発からプロモーション活動まで自分たちの力でやり遂げた。女性社員の一人橋本美紀さんは「始めは商品を開発することを目標に頑張ってきたが、完成の後も苦労した。1人なら無理なことでも4人で力を合わせればやり遂げられることを知った」と話してくれた。
そんな彼女たちは14年6月に2品目となる地元産ユズ種子エキス入りの「柚子香オールインワンジェル」を開発、現在も3品目となるスキンケア商品の開発に取り組んでいる。
その他にも丸八土建では、有給休暇や育児休業、資格取得の推進・奨励、社員の家族交流会を開いて社内制度や方針についての情報を提供・共有するなど家族ぐるみで働きやすい職場づくりを目指している。
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