マグニチュード9.0という巨大な地震エネルギーとそれによって引き起こされた巨大津波により未曾有の被害をもたらした東日本大震災。東北地方から関東地方に至る沿岸部では津波による壊滅的な被害が発生し、電源を失った福島第一原子力発電所では炉心が溶融し大量の放射能が放出された。液状化現象や地盤沈下などによって電気やガス、下水道、道路といった多くのライフラインが寸断するなど、災害への対応を根本的に見直すきっかけとなった東日本大震災から5年が経過する。この間、ハード・ソフト両面からの復旧・復興が本格化するとともに、震災のメカニズムの解明、南海トラフや首都直下など巨大地震の被害想定と対応策の検討が進められ、「何ができなかったのか」「何ができたのか」「何をすべきなのか」が明らかになりつつある。
あれから５年復興いまだ道半ば～未来に紡ぐ命
【中央ニュース】
東日本大震災のみならず、この国を襲い続ける地震や豪雨災害などの被災地には、水道事業体と連携して「1日も早い水道の復旧」に全力を傾ける全国管工事業協同組合連合会（全管連）傘下会員の姿がある。ことあるごとに「私たちには命の水を守る使命と責任がある」と会員を鼓舞し、応急復旧支援体制の強化をけん引している大澤規郎会長に「次なる災害への備え」の在り方について聞いた。
政府は11日、復興・創生期間（2016～20年度）における東日本大震災からの復興基本方針を閣議決定した。住宅再建やインフラ整備など、今後5年間の重点的な取り組みを明確にしたもの。閣議後の会見で髙木毅復興相＝写真＝は、「新たな基本方針に基づき、必要なことは期間内に全てやり遂げる」との考えを示した。
石井啓一国土交通相は11日、国交省東日本大震災復興対策本部で、住宅再建の着実な推進や基幹インフラの早期復旧に取り組むことを同省幹部に指示した。基幹インフラについては、復興道路・復興支援道路や港湾、JR常磐線の全線復旧を急ぎ「これらの完成により、新たな物流網を形成し、被災地の経済の真の発展に努めてほしい」と求めた。
環境省と厚生労働省は10日、東日本大震災アスベスト対策合同会議を開いた。2015年度に実施した「東日本大震災がれき処理作業等における石綿気中濃度モニタリング調査」の結果を踏まえ、建築物解体工事で石綿繊維数濃度が1リットル当たり10本を大幅に超える高濃度の飛散事例があったことなどを報告した。
岩手県建設業協会（木下紘会長）は3月1日付で、東日本大震災から5年目の記録誌「記憶を思いに 未来につなげる～震災復興5年の記録 これからも地域とともに」を発行した。
【東京】
行政やビジネスの中枢機能が集まり、多くの人々が生活を送る首都・東京。いつ起きてもおかしくない首都直下地震から身を守るため、さまざまな技術開発が行われている。免震構造は、地震動による破壊的な力を免震部材により柔らかく受け止め軽減させることで、幅広い耐震設計を可能にする。東日本大震災を教訓とした震災対策が注目される中、その優れた耐震安全性と機能維持性が広く認められてきた。
今後の防災対策の羅針盤として東京都が定めた東京都国土強靱（きょうじん）化地域計画は「大規模自然災害発生後であっても、生活・経済活動に必要最低限の電気、ガス、上下水道、燃料、交通ネットワーク等を確保するとともに、これらの早期復旧を図る」ことを推進目標の一つに掲げた。これを受けて東京都下水道局と水道局は、それぞれ2016～20年度の5年間を期間とする新たな「経営計画」を策定。安全・安心を確保するための具体的な取り組みの内容を提示している。
就任以来、舛添要一東京都知事が一貫して首都東京の最大の“弱点”だと指摘し、対策の必要性を訴えてきたのが、木造住宅密集地域の改善と特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化だ。幅の広い道路を確保し、その沿道を不燃化・耐震化された建物による沿道遮断帯とすることで、大地震が起きても『倒れない』まちとし、燃えない・燃え広がらないまちを構築する取り組みが急がれている。
マグニチュード9.0という巨大な地震エネルギーとそれによって引き起こされた巨大津波により未曾有の被害をもたらした東日本大震災。東北地方から関東地方に至る沿岸部では津波による壊滅的な被害が発生し、電源を失った福島第一原子力発電所では炉心が溶融し大量の放射能が放出された。
【静岡】
東日本大震災から５年。被災地では、建設会社など建設業者を含めて多くの関係者が復旧・復興に全力で取り組み、徐々に防潮堤などの姿が見えてきた。写真は、岩手県下閉伊郡山田町織笠地区の織笠漁港防潮堤工事。T・P（東京湾平均海面）9.7㍍の計画に対し、現在は約5.5㍍まで進んだ。
東日本大震災から5年経過し、静岡県交通基盤部は静岡県の地震・津波対策の進捗（しんちょく）状況について、最新情報を掲載したパンフレットにまとめた。
【大阪】
宮城県南三陸町の防災対策庁舎。同町の行政庁舎の一つで、東日本大震災に伴う津波で被災した。津波は、3階建ての庁舎の屋上アンテナを残し、全て飲み込んだ。まちの復興が進む中、昨年12月には、県有化による当面の保存が決定。
あれから5年。髙木毅復興相は報道各社とのインタビューに応じ、「復興は新たなステージを迎えている」と語った。が、復興庁がまとめた昨年9月時点の公共インフラの復興状況によると、被災3県の完了率は、▽まちづくり（民間住宅等用宅地）59％▽同（防災集団移転促進事業）66％▽同（漁業集落防災機能強化事業）58％▽復興住宅43％―など、復興はいまだ道半ばと言える。
東日本大震災から5年。節目となる3月11日に向け、全国各地で防災や減災に関するイベントが多数催された。
国土交通省が発表した2016年度予算によると、一般会計総額は5兆7767億円（国費ベース）。うち公共事業関係費は、前年度額を20億円上回る5兆1787億円で、4年連続で前年度額を上回ることになる。
大阪府は、東日本大震災後、南海トラフ巨大地震対策など地震防災対策（都市整備部地震防災アクションプログラム）を2015年3月に取りまとめるなど対策を具体化、安全・安心なまちづくりに向けて取り組んでいる。震災後の5年間の歩みと16年度の展望を紹介する。
2015年5月、浸水被害の防止や下水道の老朽化対策を強化する改正水防法等（水防法、下水道法、日本下水道事業団法）が成立。地方自治体などの下水道管理者に点検の実施が義務付けられるようになった。
神戸市は、2016年度から20年度を計画期間とする「こうべアクアプラン2020（案）」の中に、管渠の改築、更新に対する方針を盛り込んだ。16年度からは毎年約45㌔分の事業を推進していく。
東日本大震災から5年、より身近な阪神・淡路大震災から20年が経ち、災害を直視した上でのインフラ対策が進む。支障を来すと、その影響が計り知れない下水道分野においても、これまでの経験を生かした改善が重ねられている。日本下水道管路管理業協会の山本克理事・関西支部長に、その取り組みや課題について聞いた。
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