名古屋市中心部のオフィス街を走る、国道19号桜通の自転車通行帯が全面的に開通してから半年以上が経った。朝の出勤時間帯に、交差点を横切る青いペイントの上を多数の自転車が走っていくのも、既に日常の光景だ。そして今、新たな区間を対象に自転車通行空間の整備が検討されている。これまでと異なる沿道環境で、どのような利用形態を想定して整備を進めていくのか。次の段階に入ろうとしている、愛知県内の自転車通行空間整備を取材した。
新たな自転車ネットワーク
〜安全な走行環境を実現〜
愛知県内の国道を対象とした自転車通行空間整備では、国道19号桜通がモデル地区と位置付けられ、国土交通省名古屋国道事務所が整備を進めてきた。西側区間に当たる日銀前交差点〜伊勢町通間の約800bは11年6月に開通。その後、東側区間の伊勢町通〜高岳交差点間の約750bが15年3月、高岳交差点〜小川交差点間の約450bが同年7月に完成し、総延長約2`に及ぶ桜通の自転車通行空間が全線開通した。
東側区間の利用形態はこうだ。車道の路肩部分を活用し、幅1.5bの自転車専用通行帯を設置。自動車と同じ方向の一方通行となる。
1車線分を対面通行の自転車道として整備した西側区間とは通行ルールが異なるため、切り替え部には進行方向を示す路面標示や注意喚起を促す看板を設置。このほか、安全対策として、交差点部での自転車の走行位置を示す路面表示やポストコーンをこれまでに設置した。
全線開通後の効果はその後の調査でも確認されている。東側区間を対象とした調査では、自転車レーンの開通から3カ月後の自転車の交通量は、開通直後と比べて最大で約2倍に増加。整備前まで大半が歩道上を走っていた自転車も、開通後は最大で約6割が自転車通行帯を走るようになり、自転車と歩行者の混在が解消された。
名古屋国道事務所は今、新たな自転車通行空間の在り方を検討している。対象となるのは、国道22号日銀交差点から押切交差点までの、延長約1.8`の区間だ。この区間の歩行者・自転車利用者は12時間あたり約4000人・台と多い。このため、15年9月には、地元の学校関係者や名古屋市、愛知県警などで構成する名古屋国道管内自転車安全利用協議会を設立、検討を開始した。
この区間は、日銀前交差点で、これまでに整備した桜通ともつながり、自転車通行空間のネットワークを形成する。今後は、安全に走行できるような接続形態が課題となりそうだ。
また、三の丸交差点は大きな三叉路となっているため、自転車通行空間の整備時に、自動車通行との兼ね合いを考える必要もある。
名古屋市緑政土木局も12年度から、自転車環境整備事業により自転車専用レーンの整備を進めている。これまでに、千種区の市道弦月若水線の愛知工業大学名電高校の南から千種公園までの延長約900bで整備を完了。さらに、13年度から15年度にかけて、守山区町北地内ほかの県道名古屋瀬戸線・矢田川橋から小幡駅前までの延長2300bを整備した。この自転車専用レーンの整備は、15年度実施分で一区切り付ける方針だ。
直近の事業では、カラーペイントによる専用レーンという形で自転車通行空間を確保した。県道名古屋瀬戸線は、両側歩道の幅員が1.6〜2.2bと狭く、歩道を自転車が走ると歩行者との接触の危険がある。そこで、車道部に、水色の溶融噴射式カラーペイント(塗布厚1.7_以上)で幅1bの専用レーンを設置した。同工法は湿っても滑りにくいことが特徴だという。交差点やバス停付近は、矢羽根(ナビマーク)の形で塗色し、注意を喚起した。
同市は今後も、地元からの要望や、近隣の学校の有無、自転車・自動車の通行量、車道部と歩道の幅員などを踏まえて新たな自転車通行空間の整備区間を検討していく。16年度以降の新規整備箇所として同市は、名古屋市西区の市道西藪下塩町線を挙げている。
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