森林が健全で良い状態に保たれることは、流域に広がる県土を保全し、森林のミネラルを豊富に含んだ水が流れ込む海を豊かにする。自然の好循環を保つために、荒廃した森林の再生は重要な事業として位置付けられている。静岡県の「森の力再生事業」はその柱となる事業として財源となる「森林(もり)づくり県民税」が延長されて事業を継続。2016年度から第2期の10年間をスタートした。
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(2016/11/14)
「森の力再生事業」第2期計画をスタート
〜自然の好循環を保つために〜
第2期10年間(16年度〜25年度)の全体計画は、人工林再生整備として強度の間伐10700ヘクタール・倒木処理300ヘクタール、竹林・広葉樹林等再生整備200ヘクタールの計11200ヘクタールを予定している。事業費は95億7600万円を見込んでいる。
県は、16年度の計画として人工林再生と竹林・広葉樹林等再生の2事業に総額9億5800万円の補助金を投じ、延べ1120ヘクタールの整備を促進する。人工林再生整備として強度の間伐1070ヘクタール・倒木処理30ヘクタール、竹林・広葉樹林等再生整備20ヘクタールを予定している。
16年度の事務所別の計画は、賀茂農林管内が80ヘクタール(人工林再生78ヘクタール、竹林・広葉樹林等再生2ヘクタール)、東部農林管内が210ヘクタール(人工林再生205ヘクタール、竹林・広葉樹林等再生5ヘクタール)、富士農林管内が90ヘクタール(人工林再生89ヘクタール、竹林・広葉樹林等再生1ヘクタール)、中部農林管内が250ヘクタール(人工林再生248ヘクタール、竹林・広葉樹林等再生2ヘクタール)、志太榛原農林管内が190ヘクタール(人工林再生188ヘクタール、竹林・広葉樹林等再生2ヘクタール)、中遠農林管内が140ヘクタール(人工林再生135ヘクタール、竹林・広葉樹林等再生5ヘクタール)、西部農林管内が160ヘクタール(人工林再生157ヘクタール、竹林・広葉樹林等再生3ヘクタール)。
また、06年度〜15年度の過去10年間の森の力再生事業による実績を見ると、人工林再生整備として強度の間伐11569ヘクタール(機能回復型、機能強化型)、風倒木処理410ヘクタール、竹林・広葉樹395ヘクタールを整備した。総事業費は96億7300万円。森林の保水能力維持の点では、荒廃森林では立木が込み合っていて下草が生えていないため、表土が流れ出る恐れがあることから、人工林再生整備により下草が回復し、広葉樹などが発生することで表土を安定化させる効果を生んでいる。
波及効果としては、▽実施箇所では植生の回復などにより、山地災害の防止や水源の涵養など森林機能が向上▽中山間地域の雇用創出▽木材有効活用の推進−などが挙げられる。
10年間で地域に密着した造園・建設会社、NPOによる森林管理の取り組みが進んだ他、新たな担い手として43者が森林整備分野に参入した。このうち、建設業・造園業などは26者。雇用の創出では作業員として延べ2309人(年間約231人)が増加、新規雇用は10年間で延べ162人となった。
この他、林業機械の導入が18事業体、林内路網の整備は合計436キロの作業車道を開設した。整備で発生した木材の有効活用(搬出利用量)は10年間で15.8万立方メートルにも上る。
近年、集中豪雨が頻発し、山地災害の発生リスクが高まる中、森林所有者による整備が困難な状況にあるとともに、竹林などでは新たな荒廃が進行し、シカによる食害が助長している点が課題としてあり、さらに事業を推進することが求められている。
静岡県は県土の3分の2が森林。森の持つ力は、(1)樹木や地表を覆う下草などが雨による土砂の流出や崩壊を防ぐ(2)雨水を蓄えて時間をかけて川に流し、洪水や渇水を緩和する(3)肥沃(ひよく)な山の成分を川に流し、海に供給する(4)地球温暖化の防止−など計り知れず、県民はその恩恵を受けている。
しかし、手入れの行き届かない森林が増えたことから、静岡県では「森の力」を再生するための整備を2006年度から開始した。
「森の力再生事業」は、法人県民税と個人県民税の超過課税を活用して06年度にスタート。15年度に事業継続が決まり、16年度から10年間の計画が策定された。民間(団体)などが実施する人工林の再生(強度の間伐・風倒木処理)と竹林・広葉樹林再生に対して補助している。
森林(もり)づくり県民税は、森林が土砂災害の防止、水源のかん養などの公益的な機能を有し、これらの「森の力」は全ての県民が享受しているとして、荒廃した森林を再生、良好な森林環境を保全していくための財源として導入された。森の力再生事業継続と共に、県民税の課税期間も5年間(20年度まで)延長され、5年をめどに見直しする。
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