土木工事は国民の暮らしに欠かすことができない重要な役割を果たしている。安全で安心な生活を守るとともに、経済を支えている。三重県でも、県民の命と暮らしの安全・安心を支え、経済基盤の根幹となる県土づくりが着々と進められ、公共事業の担い手として、時には災害から地域を守る地元の建設企業が高い技術で安全に工事を進めている。
11月18日は「土木の日」。土木の2文字を分解すると十一と十八になることと、土木学会の前身である「工学会」の創立が1879年(明治12年)11月18日であったことから、同学会が1987年に同日を「土木の日」として制定した。
そこで、「土木の日」に合わせ、三重県県土整備部の各建設事務所が進める主な土木工事にスポットを当て、現場所長に工事の進捗状況や安全管理、周辺への環境対策などを聞いた。


より安全な道路づくりを提案
主要地方道熊野矢ノ川線は国道311号から丸山千枚田や熊野古道通り峠にアクセスするための重要な道路で、休日ともなれば他府県ナンバーの車の往来も多いが、現道は坂道の急カーブが連続し幅員も狭小だった。そこで、カーブを緩やかにするとともに、幅員の拡幅が計画された。今回の工事では、地山を2カ所掘削し、全幅7bの緩やかなカーブの安全な道路を整備した。施工区間は延長327bで、工事は順調に進んでいたが、地山を切り崩した後の法面保護で問題が発生した。当初は法面をコンクリート吹き付けで安定させる計画だったが、想定以上に湧水が多く、地滑りに対しより強度がある現場吹き付け法枠工への変更を発注者に提案した。「発注者との協議中に雨が続き100立方bほど土砂が崩落し、その対応に苦労した」と完成後の安全に配慮した施工ができたことに対し、福岡毅所長は安堵(あんど)の表情を浮かべる。
現道の急なS字カーブを緩やかなカーブにするためには、新道を現道より低くする必要があり、現道と新しく整備する道との高低差は高いところでは約1bあった。丸山千枚田に通じる道でもあることから、通行止めにはできず、「現道と新道とがクロスする部分の切り替えに骨を折った」と振り返る。クロス部分では高低差に配慮した仮設道を創意工夫しながら設けた。
工事は10月に無事完了し、現場には安全に走行できる真新しい道がある。今後も観光バスが安全に走行できるよう、改良事業の延伸が望まれている。
【工事概要】
□発注者―熊野建設事務所
□場所―熊野市紀和町矢ノ川
□工期―3月23日〜11月14日
□概要―施工延長327b、幅員5.5b(7.0b)、掘削工2600立方b、側溝工167b、コンクリート吹き付け工608平方b、舗装工2580平方b
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想定外の岩掘削乗り越え2月の完成目指す
熊野市金山町にある金山神社から北側に少し進むと巨大な構造物が出現する。全長83.5b、高さ19.5bにも及ぶ砂防堰堤の本堤だ。今回の工事では本堤工の一部と前庭保護工などを進めており、本堤は完成形に近づきつつある。
しかし、工事はこれまで順調とは言い切れなかった。前庭保護工の掘削時に岩盤層が現れ、推定岩盤線の±50a前後と思っていた岩盤は予測をはるかに超え2b以上の深度に及んだ。想定外の岩掘削に相当な時間を取られた上、掘削土は現場内流用の計画だったが、「狭い現場には仮置きスペースがなく、土砂運搬を余儀なくされ時間がかかった」と鈴木直人所長は振り返る。
現場周辺にはみかん畑があり、畑に通じる道路を確保するため、工事の進捗に合わせ常に道路を付け替えている。みかんに影響を与えないよう、適宜散水し土ぼこり対策にも気を配っている。
12月からは今の2班体制を3班体制に再編成し、掘削で遅れた工程を取り戻すべく、床固め工や水たたき工、側壁工など構造物築造で作業ペースを上げる考えだ。また「構造物は先が読めるが、“土しごと”は雨が大いに関係してくる」と最終段階の盛土も見据えている。熊野地域では例年1月後半から2月にかけて雨が多く、雨水の集中する谷地での作業であることから、当然、工程にも影響が出てくる。「今からが勝負。多岐にわたる工種の作業を同時に行いながら、2月いっぱいで工事を終えたい」。工事中の現場は自然との闘いでもある。
【工事概要】
□発注者―熊野建設事務所
□場所―熊野市金山町
□工期―3月7日〜2017年3月8日
□概要―砂防堰堤工39b、砂防土工5562立方b、本堤工1103立方b、前庭保護工23b、床固め工650立方b、側壁・水たたき工999立方b
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住民のために振動抑制の工法を提案
紀北町矢口浦地内で進む一般県道矢口浦上里線道路改良は現道が狭小のため、バイパス道路を新設しているもので、今回の工事は新しい橋梁の橋台2基を築造するのがメインだ。しかし、本体工に入る前には紀北町の水道管の切り回しや町道に架かる橋の撤去などが必要で、全工程にわたり綿密な進捗管理が求められている。これらの準備工は問題なく11月中には終え、12月からは橋台築造に着手する予定だが、ここで大きな難題に直面している。矢板の施工法だ。設計ではウオータージェット併用のバイブロハンマー工法となっているが、調査の結果、現場の地盤は固く、N値は50以上で大きな石が存在していることが分かった。同工法で施工した場合、振動が激しく、近隣の民家に何らかの影響が出る恐れがある。福山一寿所長は「住民の利便性向上のための道路整備。その工事で住民に迷惑を掛けることは避けたい」と思いは切実で、振動を抑制する硬質地盤クリア工法を採用することとした。また、杭の施工はオールケーシング工法で防音壁を設置し騒音を防止する。
順調に工事が進めば、2月末にはコンクリート打設まで完了させ、付随する護岸工は、渇水期を利用しながら本体工と並行して進める。河川の下流域には熊野灘臨海公園大白地区があり、水質汚濁にも十分注意を払う考えだ。「建設企業として信用できるものを造るのが一番大切」と構造物の品質・出来栄えはもちろんのこと、「住民から苦情ゼロで工事を進めたい」と全ての方面に目を配る。
【工事概要】
□発注者―尾鷲建設事務所
□場所―紀北町矢口浦
□工期―9月21日〜2017年5月18日
□概要―施工延長100b、橋梁下部工2基、現場打ち杭工12本、コンクリートブロック積み工379平方b、根固めブロック工24個
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安全作業を再確認し工事に臨む
中南勢地域と東紀州地域を南北に縦貫する国道422号は幅員が狭く、カーブが多い未改良区間となっている。路線バスを除く大型車の通行規制区間や異常気象時の通行規制区間であるため、バイパス整備を行い幹線道路としての機能と安全を確保するため1996年から事業を推進している。
今回の工事は国道422号(三田坂バイパス)5号橋下部工事で橋脚工2基を行う。今年2月に着工し、現在仮桟橋工を終えて橋脚基礎の掘削を進めている。事業区間の全体を見ると橋梁工が7カ所あり、既に6橋が完成している。今回の5号橋が架かればバイパスが一本につながることになる。
工事を担当する森本徹也所長は、「工程の6〜7割を占める仮桟橋工に迅速に取り組んだ」と話す。年末から年度末の時期は、他工事も含め現場が最盛期に入るためコンクリート工事やクレーン作業などが重なりスケジュール調整が難しくなるという。仮桟橋工を早く完成させることで下部工事に余裕を持って取り組んでいく。
安全対策については、第一に転落防止を意識したという。仮桟橋の高さは30b以上あるため、手摺りとは別に高さ180aのネットフェンスを設置した。
「実際に供用される部分(下部工)はスタートしたばかり。ここからが本番と思い、安全作業を再確認し工事に臨む」と意気込みを語る。
【工事概要】
□発注者―伊賀建設事務所
□場所―伊賀市大谷地内
□工期―2月19日〜2017年3月9日
□概要―仮桟橋延長92b、幅員8b、橋梁下部工2基(竹割土留工・深礎工・下部工)
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隣接した現場と連携を取りながら施工
国道167号(鵜方磯部バイパス)は、志摩市磯部町の南勢磯部線から阿児町の国道260号を結ぶ延長7650bの幹線道路。交通渋滞の緩和や緊急時の輸送道路として期待されており、早期供用開始を目指す。
現場は全長のうちの磯部町穴川〜坂崎に位置する延長440bの区間で、現在深さ1.6b分の切土工事を進めている。さらに施工する現場の隣でも同様にバイパスの道路改良工事が施工中で、今回の現場は隣の現場の車両などの通り道としても利用されている。担当する嶋田崇所長は、「車両の通行用に道路を二分し、片側を残して作業を行っている。ダンプなどの通行に注意しながら、隣の現場と連携して工事を進めている」と話す。道路の片側の掘削工事を行い、片側が完成すれば道路を切り替えて残りの片側の工事に着手する。
今回の現場では、掘削する土が水を多く含んだ粘土質であることが特徴。この土は再利用が難しいため、県の残土処分地へ運搬している。また、この残土処分地は多くの業者が利用していることから一般交通への配慮にも努めている。
嶋田所長は、「特に気を使うのは土の処理。他の現場でも同様に土の処理があるため、各現場同士で搬出するダンプトラックの台数調整を行いながら作業を進めている」と説明する。そして排出土だけでなく、掘削路面の状態が悪いため、本来の切土の深さよりも少し深く掘り、乾いた土を敷いて道路状態を良くするといった工夫も取り入れている。
【工事概要】
□発注者―志摩建設事務所
□場所―志摩市磯部町穴川〜坂崎
□工期―9月12日〜2017年6月13日
□概要―延長440b、掘削工7900立方b、路床安定処理工3220平方b、側溝工延長1175b、管渠工延長204bなど
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近隣住民の生活に配慮し作業に臨む
国道167号(鵜方磯部バイパス)は、志摩市磯部町の南勢磯部線から阿児町の国道260号を結ぶ延長7650bの幹線道路。早期供用開始を目指し、順次工事が進められている。
出馬重機が担当する現場は、バイパスのおよそ中間部分に当たる延長260bの区間。工事区間内に市道開拓幹線が通っており、市道とバイパスの交わる交差点の整備が今回の現場の大きな特徴となる。工事は交差点の磯部町側(西側)を「ステップ1」、北側を「ステップ2」、南側を「ステップ3」、鵜方側(東側)を「ステップ4」と工程を四つに分けて改良工事を行っている。
交差する市道は周辺住民の方たちの生活道路であり、一般車両を通しながら工事を進めなければならない。現場を担当する田畑孝浩所長は、「現道は狭いので交通整理には充分に気をつけている」と話し、住民の生活に極力影響が出ないように配慮している。さらに、現場の交差点付近に位置する住宅は現道が使えなくなるため、住宅用に取り付け道路を設置して工事を行わなければならず、「今回の現場は周辺住民の方たちの協力なくして進められない。工事への理解と協力を求めながら完成を目指したい」と、地域と一体となり作業に臨んでいる。
そして濁水への対策も大切。掘削した後には砕石を敷くなど、土が雨と混じらないようにし、濁水が流れないような工夫も行っている。
【工事概要】
□発注者―志摩建設事務所
□場所―志摩市磯部町坂崎〜阿児町鵜方地内
□工期―7月11日〜2017年4月17日
□概要―延長260b、掘削工13840立方b、盛土工490立方b、路床安定処理工2800平方b、コンクリートブロック積工460平方b、側溝工延長404bなど
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自ら現場所長に立候補 安全な工事を
今回石吉組が施工するのは主要地方道磯部大王線(甲賀)の道路改良工事で、志摩市阿児町甲賀に位置する延長106bの区間が対象となっている。狭小で交通が困難な約4bの幅員の現道を片側1車線の幅員約8bまで拡幅するのが目的だ。
一般車両の通行を確保しながらの工事となり、現場を担当する中井将所長は、「現道は狭いので、重機の搬入時など交通整理に特に気を配らなくてはならない」と注意点を挙げる。対象となる道路には橋長約3bの橋が架かっており、拡幅工事に伴い、橋梁部分には新たに幅3b、長さ18.5bのボックスカルバートを川に沿って設置する。
工事では始めに橋梁の上流側に一部ボックスカルバートを設置し、一時的に現道を切り替える。さらに現場の道路脇には住宅があり、住民に配慮しながら工事を進めなければならない。特に重機の搬入先の確保が課題となっている。中井所長は「現場隣にある住民の方の駐車場を一時的に借りて、そこに重機を搬入する。住民の方の協力が大切」と話す。現道が狭小であり、防音シートが設置できないため、圧砕機などを使い極力騒音が出ないような工夫も行っている。「今回の現場は私の地元であり、現場周辺の住民の方には顔見知りの人もいる。そうした縁もあって今回現場所長に立候補した」と工事に臨む思いも話してくれた。地元の人たちのためにも安全に工事を進める考えだ。
【工事概要】
□発注者―志摩建設事務所
□場所―志摩市阿児町甲賀
□工期―9月16日〜2017年5月8日
□概要―函渠工延長18.5b、排水工延長149b、舗装工830平方b、掘削工2100立方b、法面整形工640平方bなど
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土質を見極めながらの掘進管理が重要
伊勢市小俣町明野〜明和町新茶屋の延長777b区間を対象に、推進工法を用いて口径900_の耐食性鉄筋コンクリート管敷設工事を進めている。延長777bを下流側延長407b、上流側延長370bに分け、間に発進立坑を設置して工事を行っており、現在、下流側延長約200bまで完了している(11月9日時点)。
この工事で気を使うのは地中の土質の変化。工事前のボーリング調査の結果を基に地層の変化を予測し、掘削機の面盤の形や管の強度などを決定する。
特に大仏山の麓近くに位置する今回の現場では、土層が平行ではなく波状になっているため、管を通す際の土質への対応がとても重要になる。現場を担当する森・西邦JVの阪本泰規所長は、「推進工法では土の中に管を推しながら進めていくため、土の硬さなどによって管を推す微妙な圧力の調整がとても大切」と話す。現在の工程では1日に約10b分の敷設工事を行っている。
現場では発進立坑の位置に資材を搬入するため、立坑を設置している道路の一部は交通規制を実施している。ダンプなど重機が通行する際には交通整理をしっかりと行い、近隣の住民への配慮も忘れない。
最後に阪本所長は、「現場は生き物。現場が変われば周辺住民や一緒に作業する仲間も変わる。しっかりとしたコミュニケーションを取ることがとても大切」と話してくれた。
【工事概要】
□発注者―伊勢建設事務所
□場所―伊勢市小俣町明野〜明和町新茶屋地内
□工期―3月22日〜2017年11月16日
□概要―管延長777b、推進工径900_延長765b、立坑工2カ所、人孔工1基
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落石から通行車両を守る
主要地方道久居美杉線で通行車両を落石から守るロックシェッドの補修・補強工事が進められている。4カ所あるロックシェッドのうち対象は最も久居側の「井生第1洞門」で築後44年が経過している。補修工事は柱の基部をコンクリートで巻き立て、腐食の著しい鋼材に新しい鋼材を当て板し、再塗装を行う。補強工事は頂部のデッキプレートを取り換えし、その上に砂層、軽量盛土を設け、落石の衝撃力を軽減させ耐力を向上させる。施工延長は20b、幅9b。
柱の補修工事から開始し、11月上旬にはデッキプレートの取り換えを進めている。工事を担当する林組の上田正勝所長は「デッキプレートがない状態での交通解放はできないため、1日で取り換えできる範囲の施工となり、段取りが重要」と語る。工事の難しい点は「施工当時の図面がなく、実測して施工図を作成したが、床板などの細部について不明点が多く、発注者と協議を重ねて施工を行っている。また、限られたスペースであり、資機材の搬入などで効率性を向上させること」などを挙げた。
安全面では工事箇所の斜面上部に落石防止ネットを張り、作業員と通行車両の安全を確保するとともに、天井部にも塗膜片などの落下を防ぐためのシートやネットを設置している。工事は片側交互通行で実施しており、「地域の方々に周知を図り、工事の必要性も理解をいただいている。できる限り交通規制期間の短縮を目指したい」と語る。
【工事概要】
□発注者―津建設事務所
□場所―津市一志町井生
□工期―3月29日〜2017年3月13日
□概要―ロックシェッド補修・補強工(施工延長20b)
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若年世代がのびのび働ける現場づくりを
堀切川河口部は市街地に位置しているが地盤が低く、台風など高潮による浸水被害が発生していた。このため同川では河川改修事業として防潮水門や排水機場の整備、下流左岸の引き堤を継続して進めている。
今回の工事は、同川下流部左岸に築堤工と矢板工を施すもの。今年3月に着工し、全体の進捗率は90%以上(11月8日現在)と仕上げに差し掛かっている。
工事を担当する北川一行所長は、「現場はノリの養殖を行う白子漁港が近く、濁水の対策が1番の課題だった」と振り返る。当初、矢板工ではサイレントパイラーによるウオータージェット併用圧入工法を採用していたが、濁水が多く発生してしまうためクラッシュパイラー工法に切り替えた。地中を水ではなくオーガでほぐすことで濁水の発生を抑える他、騒音対策にもつながった。現場近くでは鈴鹿市で進めている渚雨水ポンプ場の整備事業が数年継続している。「長い期間続く地元住民の負担を少しでも軽減したいと考えていたので、工法の変更は正解だった」と話す。
工事を担当するに当たり「積極的な会話が安全施工の第一歩」という。休憩中の雑談の中でもKY(危険予知)や体調管理、作業イメージの共有などを行うことで安全施工、ひいては若い世代の成長にもつながると強調。「若年世代の監督、技術者がのびのび働ける現場づくりを目指している」と笑顔で語る。
【工事概要】
□発注者―鈴鹿建設事務所
□場所―鈴鹿市白子町
□工期―3月15日〜12月9日
□概要―築堤工延長143.9b、約1600立方b、矢板工159枚
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地域と密着し、円滑な施工を目指す
亀山市役所の南にあるため池「池の側」に架かる亀山停車場石水渓線・池の側橋の橋梁耐震補強工事。江戸時代、亀山城のお堀であった池の側の周辺は市役所の他、小学校や病院が並び、市民の生活に欠かせない重要な路線であるため、橋梁の耐震補強が急がれる。
同事業は、2014年から継続しており、今回の工事で、池の中の一部に鋼矢板を打設して仮締め切りを行い、水をくみ上げた後、パワーブレンダー工法により池底の軟弱層を改良する計画だ。
大川智也所長は、「地盤改良の施工では、大型建設機械による騒音や振動などの発生が懸念される。地域住民の生活環境への負担をいかに軽減するかがポイント」と話す。今後、県と協議を重ね最適な工事プランを検討していく。また、交通量が多く、搬入口がカーブの途中にあるため、工事車両の出入り時の安全対策にも重点を置いている。この他、地元自治会と情報を共有することで地域と密着し、円滑な施工を目指す。
来年1月に亀山西小学校の児童が見学に来るという。「見学会を開くことにより、子どもたちが『ものづくり』の充実感や達成感などを肌で感じ、建設業に興味を持ってもらえるよう、業界の魅力を発信したい」と意気込みを語る。
【工事概要】
□発注者―鈴鹿建設事務所
□場所―亀山市東丸町
□工期―9月27日〜2017年8月7日
□概要―橋梁耐震対策:施工延長147b、幅員12b、地盤改良工4883立方b、仮締め切り工(鋼矢板V型)583枚
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夏季のコンクリート養生と躯体の品質管理に対処
四日市中心市街地と菰野町を連絡して地域の東西軸の形成を目指し、各所で進められる国道477号四日市湯の山道路改築事業。その中の一工区として、NEXCO中日本が建設中の新名神との並走区間の東端で、下部工3基の築造工事を担当した。
4月末に着工後、基礎工事に着手し、径1200_・長さ約20b、計19本(橋脚3基分)の場所打ち杭を約1カ月かけて打設した。その後、杭の周りに鋼矢板を圧入し、鋼矢板に囲まれたスペースを大型バックホウと小型バックホウにより掘削。杭頭処理を行った後、掘削面に基礎コンクリートを打設した。「掘削により、地面から浅い所で3.5b、深い所で6.4bという高低差が生まれた。この工程から高所作業における注意を喚起した」と振り返る。
その後、下部工本体を築造するために鉄筋と型枠を組む作業を進めながら生コンの打設を進め、躯体の打設を完了後、その半分程度まで埋め戻しを行った。次に張り出し部の築造に向け、鉄筋と型枠を組む作業の際にあらかじめ鉄板を敷き、張り出し部の両側下を斜めの面にするための型枠をサポートなどで支えた。生コンの打設時はおおむね天候に恵まれたが、「狭い施工ヤードでの安全対策と、夏季のコンクリート養生による品質管理に気を使った」と話す。
完成検査を控え、「最後まで気を抜くことなく無事故無災害で完了させたい」と気を引き締める。
【工事概要】
□発注者―四日市建設事務所
□場所―菰野町潤田
□工期―3月4日〜12月13日
□概要―P5橋脚工:高さ8.2b、コンクリート208立方b、P6橋脚工:高さ6.9b、コンクリート171立方b、P7橋脚工:高さ8.2b、コンクリート208立方b
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第三者への落石防止などに徹底して配慮
いなべ市北勢町から南濃町へ向かう県道25号。この北側斜面で落石が発生する可能性が比較的高いため、道路内への落石を防止する措置を講じる。施工では6工区で自立フェンス付きのコンクリート擁壁タイプと同基礎タイプ、落石防止網を設け、さらに北東約200bの所の4工区で高エネルギー吸収タイプの落石防護柵を設置する。
7月中旬に各工区内の伐採を済ませ、まず6工区でコンクリート擁壁タイプと同基礎タイプの設置に向けた床掘り(深さ約0.5b)に着手した。8月末、擁壁を築造するため10bピッチで行ったコンクリート打設の際に、「擁壁の天端が水平でないため、コンクリート内の気泡を抜く作業が思いのほか難しかった」と振り返る。
4工区は、6工区より1カ月半遅れで工事に着手した。作業ヤードの確保も兼ねて斜面の途中に足場を組み、支柱を建てるアンカー工事からスタートした。アンカーは長さが支持地盤内の約40aを含めて約3bあり、しかも1本の支柱に対し3本設置しなければならず、「このアンカー工事が予想以上に大変な作業だった」と説明する。
現場は平日でもサイクリング愛好家などが通行する。「第三者への落石防止を徹底し、最後まで気を抜くことなく無災害で施工を完了させたい」と話す。今後は6工区にある現場内一番の急傾斜箇所で、落石防護網設置工事の仕上げ作業に臨む。
【工事概要】
□発注者―桑名建設事務所
□場所―いなべ市北勢町二之瀬
□工期―6月20日〜2017年1月5日
□概要―施工延長220b、4工区:高エネルギー吸収タイプの落石防護柵設置工延長106b、6工区:同(コンクリート擁壁タイプ)延長66b他


朝夕の通行車両など第三者災害の防止を徹底
員弁川に架かる桑部橋の南西付近で、歩道部の設置と桑部交差点付近の交差点改良を目的とした工事が進められている。現道の南側に新設する歩道整備工事をおおむね完了、今後は北側で歩道整備に向けた側溝敷設工事に着手する。
現道の南側に沿う河川側で行った2次製品の張り出し路盤設置工事では、南側の路肩を掘削後、2次製品の基礎板を置き、その上に1個当たりの張り出し幅2.4b、幅1.5bの路盤を5個ずつ鉄筋で連結した。さらに、河川側の路肩に据える製品本体の中に生コンを詰め、路盤の端に高さ1.1bの転落防止柵を設置した。「路盤を据える前、現場打ちの基礎コンクリートではなく基礎板で対応することで、工期短縮に貢献できた」と説明。さらに、「朝夕の通行車両などが多いため、警備員やカラーコーンなどをうまく活用し、第三者災害などの防止を徹底している」と安全対策にも余念がない。
今後は北側で、深さ400〜800_、幅300_の側溝を敷設し、車道側に境界ブロックを据え歩道部を築造して舗装工を行う。その後、西側の工区でも側溝を敷設して歩道部を整備し、桑部交差点内の水路改修や歩道部の拡幅、同交差点北・西側他でも側溝敷設・歩道部の整備を進める。「今後も通行人や一般車両などに迷惑を掛けず、無事故無災害で完成させたい」と工期を見据える。
【工事概要】
□発注者―桑名建設事務所
□場所―桑名市桑部
□工期―8月8日〜2017年4月19日
□概要―施工延長285b、張り出し歩道工延長56b、舗装工1688平方b、防護柵工235b