無電柱化の実現は、街並みの景観向上や、地震、台風による自然災害から「命の道」を確保する社会資本整備の重要な施策の一つだ。「無電柱化推進法案(仮称)」の法整備の動きを受け、全国的に無電柱化ニーズの機運が高まりそうだ。
国内の無電柱化率は、特別区、政令市で最も高い東京23区でも7%弱、大阪市は5%弱と進捗は立ち遅れている。国が定めた「無電柱化推進計画」は、6期計画が進行中。国土交通省では、災害時の緊急輸送路となる直轄国道での電線共同溝整備を進めており、今後、一層の拍車が掛かることが期待される。
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(2015/8/25)
【関西】まちの景観向上と安全・安心実現
〜無電柱化事業 関西の取り組み〜
京都・先斗町通は16年度工事着手
日本を代表する歴史文化都市の京都市では、”京の道”の再生に向けた取り組みが動き出している。無電柱化は景観整備に欠かせない施策だ。
これまでに市が整備した総延長は61`。現在は油小路通、銀閣寺宇多野線の整備が進行中。今後、京都が誇る花街の一つである先斗町通や、長辻通の無電柱化に着手する。
先斗町通では、同地域を市街地景観整備条例に基づく「先斗町界わい景観整備地区」に指定。2015年度は設計に取り組み、16年度から工事を進めていく。整備延長は0.49`(京都市中京区石屋町〜同柏屋町)。現在、京都市において小型ボックスを用いたケーブルの集約化を検討している。
長辻通(JR踏切南〜丸太町通)でも同じく、設計に取り組み、16年度から工事に着手していく。整備延長は0.18`。
直轄国道35カ所で整備促進
国土交通省近畿地方整備局管内では、1〜6期計画で延長約350`(14年度末時点)の整備が完了済み。15年度には管内35カ所(45`)で事業に取り組む計画で、電線共同溝の調査設計や本体工事に順次着手する。
このうち本体工事では、大阪府域で2015年度、国道1号の城東(5.4`)、都島(3.5`)、国道25号の八尾志紀(1.1`)、国道26号の大和川北(0.3`)、大和川南(3.1`)、国道163号の門真速見(2.4`)、国道171号の今宮(1.7`)、西宿萱野(1.2`)、稲牧落(1.2`)、国道176号の中桜塚(1.2`)、庄内三国(1.8`)の全11カ所で進める。
近畿一円を見ても滋賀県2カ所、京都府3カ所、兵庫県4カ所、奈良県2カ所、和歌山県1カ所の12カ所で本体工事が進む。
近畿地方整備局道路部では、阪神・淡路大震災で電柱が約9000本倒壊し、生活物資の輸送、緊急車両の通行など災害復旧に大きな支障を来したことを教訓に、安全で安心な道路環境の構築に無電柱化は重要な取り組みの一つとしている。
低コスト化と技術開発
『無電柱化推進法案(仮称)』が施行されれば、全国で無電柱化の動きが活発になるとともに、市場規模は拡大し、関連技術のニーズはますます高まると予想される。
電力や通信などの関係事業者の責務として、道路を整備する際の電柱の新設を原則禁止するのに加え、既に立っている電柱の撤去も求める。
法制化によって無電柱化は拡大が見込まれるものの、低コスト化などの課題に対する対応も求められる。
(2015/8/25)
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