愛知県建設部
工事や業務が完了した段階で、発注者が施工状況や出来形・出来栄え、技術力や成果品の品質などを採点する成績評定。請負業者・委託業者の技術能力を測る重要な指標となる。また、成績評定で高得点を獲得することは、よりよい地域インフラを整備することにもつながる。愛知県の成績評定について取材した。
愛知県では、国土交通省中部地方整備局の要領を活用して成績評定を行っている。2018年度からは県独自の取り組みとして、情報化施工に取り組むと「創意工夫」の項目で評価することにした他、週休2日を達成すると「社会性など」の項目で評価している。情報化施工については、
▽3D起工測量
▽3Dデータ作成・施工計画作成
▽ICT建設機械による施工
▽3D出来形管理
▽3Dデータ納品―
のいずれか一つでも実施すれば評価することとした。また、活用したプロセスごとに評価するため、全てのプロセスで取り組めば、高得点を得ることもできる。
成績評定で大きな割合を占めるのは、「施工状況」と「出来形および出来ばえ」だ。100点満点のうち、この二つの項目で74.4点を占めるため、ここで点数を取らなければ高得点は望めない。特に点差が大きい項目の一つが「出来形および出来ばえ」の「品質」の項目だ。資料の不備や、工事完了後に見えなくなる部分の写真がしっかり撮れていないために点数を落としてしまうケースが少なくないと言う。「数字がきちんと見えるか、角度は良いかなど、標準仕様書通りにやることが得点につながる」と建設部の担当者は話す。
また、「施工状況」の「工程管理」の項目は、高得点の工事でも満点を獲得している工事は少ない。「工程管理」では、工事の進捗を早める取り組みを積極的に行っていることと、工期内に完了検査まで終えることが高得点への道だ。より早く進める努力をしていることが評価されるのだ。
工事の成績評定には、事故が大きな影響を及ぼす。17年度は4件の死亡事故が発生しており、18年度もこれまでに1件発生している。「事故の撲滅は非常に大切」と注意を呼び掛ける。
工事・業務の成績評定で高得点を得るためには、「現場任せにせず、会社として組織的に取り組むことが大切だ」と担当者は指摘する。一つの工事・業務で指摘された点、評価された点を、他の工事・業務でも生かすためのスキームを構築することがさらなる得点へとつながる。各工事の担当者任せになっている会社がある一方で、実際にすでにこうした取り組みを行っている会社もあると言う。担当者は、「会社内で水平展開してもらうことで、よりよい結果につなげてほしい」と期待を込める。
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(2018/8/28)
【愛知県】品質の評価が高得点の鍵
〜組織的な取り組みが大切〜
17年度工事の分析
愛知県建設部の発注工事で、2017年度に完了した工事のうち、公営住宅課、公共建築課、尾張・一宮・海部・知多の各建設事務所の工事の成績評定を分析した。
【公営住宅課・公共建築課】
公営住宅課と公共建築課が17年度に工事成績評定を行った工事の件数は100件。平均点は公営住宅課が76.67点、公共建築課が77.14点だった。評定点が80点以上だったのは20件。20件の業種を見ると、建築と管が各6件、土木が5件、電気が3件となっている。
点数の分布を見てみると、80点以上は全体の20%。75点以上80点未満が58件で全体の58%を占めている。さらに細かく点数を見ると、78点が16件で最も多く、全体の16%となっている。最低点は71点だった。
80点以上の工事の評定点を項目別に見てみると、「施工体制」のうち「施工体制一般」は20件中16件が満点、「配置技術者」は18件が満点。両方の項目が満点だったのは14件だ。
この他の項目で満点がついているのは、「施工状況」のうち「施工管理」で1件、「対外関係」で15件。
【尾張建設事務所】
尾張建設事務所が17年度に工事成績評定を行った工事の件数は162件。平均点は75.51点だった。80点以上だったのは32件。32件の業種を見ると、土木が18件、舗装が10件、塗装が2件、鋼構造物と電気が各1件となっている。
点数の分布を見てみると、80点以上は全体の20%。75点以上80点未満が77件で全体の48%を占めている。さらに細かく点数を見ると、75点が20件で最も多く、全体の12%となっている。最低点は60点だった。
80点以上の32件の工事の評定点を項目別に見てみると、「出来形および出来ばえ」の「出来形」の項目で満点となっている工事が6件ある。また、「施工状況」の「工程管理」、「出来形および出来ばえ」の「出来ばえ」が満点だった工事が各4件ある。「施工状況」の「施工管理」が満点だった工事も1件あった。「対外関係」が満点だった工事は32件中17件となっている。
【一宮建設事務所】
一宮建設事務所が17年度に工事成績評定を行った工事の件数は141件。平均点は75.52点だった。80点以上だったのは18件。18件の業種を見ると、土木が12件、鋼構造物が3件、舗装が2件、塗装が1件となっている。点数の分布を見てみると、80点以上は全体の13%。今回分析した他事務所と比較するとやや少ない。75点以上80点未満が73件で全体の52%を占めている。さらに細かく点数を見ると、76点が22件で最も多く、全体の16%となっている。最低点は63点だった。
80点以上の18件の工事の評定点を項目別に見ると、「出来形および出来ばえ」の「品質」の項目で満点を獲得している工事が3件ある。今回分析した事務所で、「品質」が満点の工事はこの3件だけだった。「出来形および出来ばえ」の「出来形」が満点だったのは2件、「出来ばえ」は1件が満点だった。
今回の分析の対象とした工事の中で最高点の86点の工事は、一宮建設事務所の発注工事。同工事は「品質」と「配置技術者」の項目が満点だった。特に配点の大きい「品質」が満点だったことが、高得点につながったようだ。
【海部建設事務所】
海部建設事務所が17年度に工事成績評定を行った工事の件数は105件。平均点は76.63点だった。80点以上だったのは19件。業種別の内訳は土木が9件、舗装が7件、塗装が2件、鋼構造物が1件となっている。
点数の分布を見ると、80点以上の工事は全体の18%。75点以上80点未満の工事が62件で全体の59%を占めた。さらに細かく点数を見ると、78点が16件で最も多く、全体の15%となっている。最低点は66点で、2件あった。
80点以上の工事について、項目別に評定点を見ると、「施工状況」の「工程管理」、「出来形および出来ばえ」の「出来ばえ」が満点の工事が各1件ある。また、「出来形および出来ばえ」の「出来形」が満点の工事は2件あった。
【知多建設事務所】
知多建設事務所が17年度に工事成績評定を行った工事は140件。平均点は77.13点だった。80点以上だった工事は30件。業種別の内訳は土木が19件、舗装が9件、塗装と機械が各1件となっている。
点数の分布を見ると、80点以上の工事は全体の21%。75点以上80点未満の工事は90件で全体の64%を占めている。さらに細かく点数を見ると、77点が29件で最も多く、21%を占めた。75点以上の工事は全体の85%に上り、今回分析した他の事務所と比較して75点以上の工事の割合が高くなっている。最低点は65点だった。
80点以上の工事について、評定点を項目別に見てみると、「施工状況」の「施工管理」が満点の工事が5件あった。また、「出来形および出来ばえ」の「出来形」が満点の工事は4件、「出来ばえ」が満点の工事は2件だった。
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