「住み続けたい」豊中創出へ 長内繁樹市長にまちづくりのビジョンを聞く
1936年の市制施行と北摂地域で最も長い市制を誇る豊中市―。北摂エリアの中心として時代に合った都市の姿を形成し続けている。「まちづくり先進都市 とよなか」を掲げ、成熟した都市の運営とさらなる発展をめざし市政の指揮を執る長内繁樹市長に聞いた。(聞き手は大阪支局=北野宏幸)
インタビューに答える長内茂樹豊中市長
―市長が思う現在の豊中市について。
「本市は非常に交通利便性がいいまちです。大阪国際空港や高速道路、幹線道路といった広域交通に加え、阪急電鉄宝塚線や神戸線、北大阪急行電鉄南北線、大阪モノレールといった鉄道と路線バスなどの地域交通も整備されており、これらを背景に良質な住宅都市として、また府内有数の事業所が集積する都市として発展してきました。民間企業が実施する住みたいまちランキングにおいても毎年高い評価を受けており、人口も増加傾向にあります」
―より暮らしやすい豊中へ実施している事業について。
「このような中、さらなる利便性の向上に向けて鉄道駅から距離のある地域を対象に、デマンド型乗合タクシー事業を実施しています。愛称を『Mina Notte』(みなのって)とし、現在は西部地域と最寄り駅を結ぶ区間で運行しています。今後は南部地域においても運行を開始する予定です。またシェアサイクルの本格導入に向け、実証実験を進めています。シェアサイクルはどのポートでも自転車の貸し出し・返却が可能であり、交通利便性の向上に加え、健康増進の効果も期待できます」
「さらに東西方向のバス路線運行により、北大阪急行緑地公園駅と阪急宝塚線曽根駅、JR宝塚線伊丹駅を結ぶことで、市内施設へのアクセス向上に加え、隣接市との連携を強化していきたいと思っています。4月から実証実験を開始し、2024年度の本格運行をめざしていきます」
■南部地域の活性化を柱に事業展開進め

(仮称)南部コラボセンター(右)と(仮称)庄内さくら学園のパース
―「将来の豊中」形成へ取り組んでいる、また計画する事業について。
「南部地域活性化の推進を大きな柱として進めています。南部地域は本市の他の地域と比べ少子高齢化が進み、公共施設の老朽化対策などの課題に直面しています。このような課題を解決し、未来を担う子どもたちが夢と希望を抱き、地域が一体となって活力あるまちづくりを進めるため、総合計画のリーディングプラン「南部地域活性化プロジェクト」をはじめ、庄内地域の小中学校を義務教育学校2校に再編することを軸とする「庄内地域における“魅力ある学校”づくり計画」や、市施設の複合化と拠点づくりなどを軸とする「(仮称)南部コラボセンター基本構想」の具体化など、南部地域の発展と成長に向けて取り組んでいるところです」
「さらに阪神淡路大震災で大きな被害を受けた地域でもあることから、7月に全線開通を予定する都市計画道路穂積菰江線の整備に取り組むなど、都市活動を支える道路ネットワークの形成も進めています」
「地域特性や社会環境の変化に伴う課題を整理し、市民と事業者と行政が共有できる中長期的なまちづくりの方向性を示すことで、さまざまな施策を一体的に推し進めていきます。南部地域においては、単に課題解決をするというだけではなく、まちの価値向上に向けた取り組みを進め、地域活性化のモデルとして市域に広げてまいります」
―ニュータウンの再整備も重要な課題だ。
「市の北東部に位置する千里中央地区は、わが国初の大規模ニュータウンである千里ニュータウンの中核をなし、国内外や京阪神の主要な拠点へのアクセスのしやすさなど、高いポテンシャルを持つまちです。一方、まちびらきから半世紀が過ぎ、周辺大型商業施設の開発や新名神高速道路の開通、さらに今後控えている北大阪急行の延伸など周辺環境は大きく変わりつつあります」
「このような状況を踏まえ次の半世紀を見据えつつ、北部大阪の広域的な拠点にふさわしいまちづくりが実現するよう、公民が協働して検討を進めてきたところであり、今後は具体的に商業施設の更新や都市機能の充実などに向けて、千里中央地区の再整備に取り組みます」
「本年10月に市制施行85年を迎えます。ポストコロナを見据え、今後の社会情勢や市民の思いをキャッチし、民間事業者のノウハウも取り入れながら、都市経営の視点をもって、まちづくりを進めます。何よりも自分のまちに対して“面白そう”や“ワクワク感”を感じられるようにしたいです。多くの人を惹(ひ)きつけ、住みたい、住み続けたいと思ってもらえるまちづくりに取り組みます」
―市のインフラ整備を支える建設業者にひとこと。
「地元建設業者の皆さまには、豊中市の根幹となるインフラ整備や施設整備を支えていただいていることはもちろんのこと、災害時緊急対応において連携・協力体制をとっていただくなど多方面でご尽力いただいており、大変感謝しています。引き続き、地元建設業者の皆さまに、公共事業の受注機会の確保に努めますので、その機会を活かして実績と技術を積み重ねていただき、ともに安全で安心なまちづくりを進めていきたいと考えています」
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