応援!2025大阪・関西万博〜えがく、つくる、たのしむ〜〈11月号〉|建設ニュース 入札情報、落札情報、建設会社の情報は建通新聞社 中央

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応援!2025大阪・関西万博

〜えがく、つくる、たのしむ〜〈11月号〉

 
タイトル
 
2025年4月13日、大阪市の夢洲(ゆめしま)で大阪・関西万博が開幕する。
国を挙げて取り組むこの一大イベントの成功に向け、企画・整備・運営に携わる多くの人たちにより、万博会場がどのようにえがかれ、えがかれたデザインがどのようにつくられ、つくられた会場をどのようにたのしむことができるか。
建通新聞では24年10月から25年3月まで、大阪・関西での万博開催のさらなる機運醸成へ、月替わりで「応援!2025大阪・関西万博〜えがく、つくる、たのしむ〜」を連載する。創造力や技術力を結集した会場施設を紹介する他、万博に関わる人たちへのインタビューなどを通じて、未来社会を照らす万博の魅力、そして未来への入り口となる建築の魅力を伝える。
 
 
On April 13, 2025, the Osaka-Kansai Expo will be held at Yumeshima, Osaka City. People involved in the planning, developing, and operating of this national event will be asked to draw up a plan of how the Expo site will be envisioned, how the envisioned design will be created, and how visitors will be able to enjoy the created site.
From October 2024 to March 2025, we, Kentsu Shimbun, will publish a series of monthly articles entitled "2025 Osaka-Kansai Expo ~Design, Build, and Enjoy~" to help build momentum for the event. In addition to introducing the venue facilities that combine creativity and technology, the series convey the appeal of the Expo as an illuminator of future society and of architecture as a gateway to the future through interviews with people involved in the Expo.
 
 
 
 
 

1. 藤本壮介会場デザインプロデューサーが語る大屋根リング

Sou Fujimoto talks the Grand Ring

 
藤本壮介会場デザインプロデューサー
 
 
 完成すれば世界最大級の木造建築物となる大屋根リング。大阪・関西万博のシンボルの一つとして、万博の理念でもある「多様でありながら、ひとつ」を形にした。デザインを手がけた藤本壮介会場デザインプロデューサーは、大屋根リングについて「最先端のサステナビリティ建築だ」と語る。
(9月13日 大屋根リング記念式典囲み取材より編集)
 
 When completed, the Grand Ring will be one of the largest wooden structures in the world. As one of the symbols of the Osaka-Kansai Expo, it gave form to the Expo's philosophy of “Diverse, yet United.” Sou Fujimoto, the venue design producer, describes the Grand Ring as “a state-of-the-art sustainable architecture.”
(Edited from an interview at the Grand Ring Ceremony on September 13)
 
 

さまざまな角度から“万博を象徴するリング”

 世界を見ると大変な状況にある場所もあるけれども、多様な世界が一つにつながり、われわれの未来をつくるという希望を大屋根リングに感じてもらいたい。機能面では、人々を日差しや雨から守ると同時に、屋根の下を歩くという楽しみもある。また、大屋根リングは日本の伝統と最先端の技術を組み合わせて建てられており、これは最先端のサステナビリティの建築でもある。それを来場者の方々にわくわくしながら歩いてもらうという狙いもある。さまざまな角度から万博を象徴するものになるのではないかと考えている。
 リングの利活用については、この場に残すもしくは別の場所に移すかも含めてどのように再利用していくのか、これから議論される。議論の中で、リングを未来に対してどう受け渡していくのかについて考えていきたい。

 

Symbolizing the Expo from various point of views

 Looking around the world, there are, in fact, places with very difficult situations, but there is still hope that the world of diversity can be connected as one to create our future, and I'd want this Grand Ring to represent that. Functionally, the Ring will prevent sunlight and rain, while walking underneath makes people excited. The Ring was built with the combination of Japanese tradition and cutting-edge technology, making it a state-of-the-art sustainable architecture. We believe this Grand Ring will symbolize the Expo from various point of views.
 

 

大屋根リングをきっかけに林業の活性化を

 木造建築が今注目されているのは、林業、そして自然と共にある産業をもう一度新しい形で活性化していくという理由が大きい。大屋根リングには、福島県をはじめ日本各地の木を使用しているが、このプロジェクトをきっかけに大規模な木造建築が増加し、結果的に日本の豊かな国土ならではの林業がもう一度活性化していくことを願っている。

 

Reinvigorating forestry

 Wooden architecture is drawing attention today due to the need of revitalizing the forestry and nature-based industries in a new shape. The Grand Ring is made of national wood, and we hope that this project will lead to an increase in large-scaled wooden buildings and, for a result, reinvigoration of the forestry.
 
万博全体図
 
 
 

“多様な世界が一つになる場所”をつくる

 約4年前の構想段階から、『世界の分断』が取り上げられており、日本国内だけでなく、世界的に『多様性の話がありながらそれがばらばらになってしまうのではないか』という危機意識があった。そのような危機が構想段階の時期より増幅してしまっている現在、“多様な世界が一つにつながる場所をつくる”というビジョンの意味がより高まっているのではないかと感じている。
 さまざまな職種・関係者と共にチャレンジを実現するためには、苦労もやりがいも多かった。その結果として大屋根リングがつながったのは感慨深い。
 万博のメインは、世界各国がさまざまな素晴らしさを持ち寄るパビリオンたちだ。パビリオンの建設が着実に進む様子を見て、世界各国が集結する盛り上がりを感じるとともに、各国をつなぐ大屋根リングの役割が明確になってきていると実感した。

 

Bringing world of diversity together into one

 At the phase of conceptual design about 4 years ago,“division of the world” was discussed. There was a sense of crisis, not only in Japan but globally, that “while the subject of diversity has been brought up, this may fall into pieces.” Today, this crisis has amplified more than ever, making our vision of “creating a place where world of diversity can be connected as one” strongly meaningful.
 I am deeply moved by the fact that the Grand Ring has connected, as taking on this challenge with people from various professions and backgrounds had many hardships.
 The main focus of the venue will be the pavilions, in which countries from around the world will bring various wonders. Seeing the steady progress of the constructions, I felt the excitement of countries gathering, and at the same time, I realized the role of the Grand Ring has become clearer.
 

 

パビリオンやコンテンツ 何度も来て楽しんで

 多種多様なパビリオンは、建築が好きな方はもちろんだが、建物だけでなくパビリオンのコンテンツも各国、各文化でさまざまなものがあり、その一つ一つを巡る喜びは語り尽くせないものがあるに違いない。
 1日で回ることができるパビリオンは限られている。天気も違えば、その時行われているパフォーマンスやイベントも違うので、何度も来て世界を体感する感覚やパビリオン・コンテンツ、会場内の雰囲気を楽しんでほしい。

 

Multiple visits recommended!

 A wide variety of pavilions will be built, not only for architecture lovers, of course, but also for those who enjoys the contents of the pavilions, varying from country to country and culture to culture. The joy of visiting each one must be an experience that cannot be described enough.
 There’s a limit to a number of pavilions one can visit in a single day. The weather, performances and events will all be different every day. So, please, come repeatedly to enjoy the sensation of experiencing the world, pavilion contents, and the ambience of the venue.
 
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2. 伝統と最先端の技術を駆使、大屋根リングの現場技術者に聞く

Into the Sites of the Grand Ring

 
 大阪・関西万博のシンボルとなる大屋根リングの木造建築部分が8月21日に完成した。今後はエレベーターやエスカレーターの設置、屋上緑化などの植栽工事を行い、2025年2月に竣工する予定だ。完成すれば世界最大級の木造建築物となる。
 大屋根リングは、全体規模が木造2階建て延べ7488平方b、周囲約2`、高さ20b、内径約615b。施工は3工区に分け、大林組・大鉄工業・TSUCHIYA共同企業体(PW北東工区)、清水建設・東急建設・村本建設・青木あすなろ建設共同企業体(PW南東工区)、竹中工務店・南海辰村建設・竹中土木共同企業体(PW西工区)が約3分の1ずつ担っている。
 基本設計で日本の伝統的な貫工法による施工が決まっていたものの、実施設計は各JVが担当し、3工区でそれぞれ部材の調達や製造、加工から建方まで異なっている。施工を担う各JVの現場担当者を取材し、それぞれの現場の施工技術やこれまでの道のりについて話を聞いた。
 
 The wooden structure part of the Grand Ring was completed on August 21st. The ongoing construction is scheduled to be completed in February 2025, after installations of elevators and escalators, and landscape construction including rooftop greenery. When completed, the Grand Ring will be one of the largest wooden buildings in the world, with it being a 2-story wooden structure measuring 7,488 square meters in total area, with 2 kilometers in circumference, 20 meters in height, and 615 meters in inner diameter.
 The construction site is divided into 3 zones, each responsible for about 1/3 of the work: PW Northeast Zone, with Obayashi Corporation, Daitetsu Kogyo, and TSUCHIYA joint venture, PW Southeast Zone, with Shimizu Corporation, Tokyu Corporation, Murato Corporation, and Asunaro Aoki Construction joint venture, and PW West Zone, with Takenaka Corporation, Nankai Tatsumura Construction, and Takenaka Construction.
 While the basic design stipulates construction using the traditional Japanese method, “NUKI”, each JV is responsible for the detailed design, and each of the 3 construction zones had different processes from procurement of materials, manufacturing, fabrication, and to erection.
 We’ve interviewed the site managers from each JV in charge, and asked them of their techniques and the path they have taken so far.
 
 

大林組JV(PW北東工区) ―独自工法とデジタル技術で工期短縮

 
大林組JV所長 内林隆文氏
 
 PW北東工区の施工は大林組JVが担当している。独自工法の導入とデジタル技術の活用で工期短縮を実現し、当初の計画から1.5カ月早い木架構の完成となった。
 大屋根リングは、日本の伝統技術である「貫接合」で現在の耐震基準を満たす必要があった。柱と梁の接合で一般的に用いられるくさびの代案として、PW北東工区では梁の中に埋め込んだボルトと仕口部の鋼板で突っ張って固定することで剛性と耐力を確保している。
 さらにユニット化により高所での作業を極力減らし、施工性と安全性を向上させた。具体的には、地上の架台に寝かした状態で並べた柱に、梁を差し込み固定した「平面ユニット」を製作し、平面ユニットを建て起こし立体形状に組み立てていく方法だ。構造体上部の部材も同様に地上で組み立てを行い「立体ユニット」として揚重して取り付ける。工事着手の半年前には実物での試験施工を行い、建方の施工性や安全性を検証し、いくつかの改善を行って本施工に臨んだ。
 部材には柱材の50%に四国産のヒノキ、梁材の全量に福島産のスギを使い、国産材の活用を推進。床材には四国産ヒノキで構成するCLTを採用した。いずれも協力会社やグループ会社が持つ国内最大規模の生産工場で製造・加工を行った。
 デジタル技術については、BIMモデルを活用したプロジェクト管理システム「プロミエ」を使用し、組み立て工事の進捗と工場における部材の製造・輸送状況を、現場と協力会社間で共有。システム活用により建方の進捗に合わせたタイムリーな材料製作と輸送管理につなげた。
 大林組JVは北東工区の統括管理だけでなく、会場全体の統括管理も担っており、工事事務所長の内林隆文氏は工区間の調整役としても奔走する。公共交通機関のない夢洲に作業員が通勤するためのバス運行や、作業員や工事関係車両の入退場管理など、さまざまな検討を重ねてきた。課題を解決しながら円滑に万博の工事が進むよう、引き続き会場全体を見据えて指揮を執る。
 また在阪ゼネコンとして「大阪で開催される国家プロジェクトに携われることを誇りに感じている。多数の関係者と協力して最後までやり遂げたい」と気持ちを表し、大阪・関西万博の成功に向けて全力を注ぐ姿勢を見せた。
 
 

清水建設JV(PW南東工区) ―生産性の追求など工夫凝らした工法を

 
清水建設JV建設所長 河地祥次氏
 
 清水建設JVが施工を担うPW南東工区は、ウォーターワールド内に建設される唯一の水盤に囲まれたリングで、他工区にはない杭施工を実施した。長さ50b、直径400_の鋼管杭を回転杭工法で約500本設置。8月中旬には構造部材が全て完成し、残りの各所手摺りの最終整備やリング上の植栽、潅水ホースの整備を行い、2025年2月の完成を目指している。
 建設所長の河地祥次氏は同工区の特徴と進捗状況について、「リング周辺にパビリオンなどの建物がなく、工事車両の動線などの調整が非常にしやすい。杭施工からのスタートだったため、他工区よりも上棟に時間を要したが、標準的なペースで計画通りに進んでいる」という。また、継ぎ手部分の施工では、日本古来の伝統的な貫工法を近代建築に見合うような基準に合わせた独自技術で施工した。生産性の追求などさまざまな工夫を凝らした工法は現在特許を申請中だ。
 リングの接合部分では、施工を担当する大林組JV、清水建設JV、竹中工務店JVが共同作業体制を取りながらそれぞれの技術を出し合う形でスタートした。「普段はライバル関係にある企業同士が、技術面で手の内を全て見せ合って切磋琢磨(せっさたくま)しながら一つの構造物を造り上げるのは珍しく、このプロジェクト以外に記憶にない」と30年以上現場に携わる中での新たな経験となった。
 統括の立場として同業他社の敷地に入る機会もあり、「施工技術以外にも仮設材の使用の仕方や作業の進め方など、自社とは異なる方法を知ることが多い。なんの利害関係もなく日々学びを得ることができるのは非常に楽しい」と技術者としての思いを語る。
 河地氏は大阪万博が開催された1970年生まれ、吹田市在住で万博になじみが深い。「大阪・関西万博は世間での注目度も高く、プロジェクトに携わっていることを光栄に思う。この機会を通して、日本のゼネコンの底力を見せていけるよう最後まで無事にやり遂げていく」と意気込む。
 
 

竹中工務店JV(PW西工区) ―伝統的な貫工法を現代技術でアップデート

 
竹中工務店JV総括作業所長 河合辰巳氏
 
 PW西工区の施工を担う竹中工務店JVは、当初予定より約2カ月前倒しとなる6月7日に上棟した。建築生産変革の取り組みである「竹中新生産システム」を導入し、生産性を向上したことで他工区に先駆けて基本構造を完成させることができた。
 総括作業所長の河井辰巳氏は同工区の特徴を「階段やエスカレーター、エレベーターが3カ所ずつと、木材料を多用したトイレも3室あり、上棟後の仕上工事が他工区よりも多い」と話す。また、「リング内ではパビリオンなどの建屋の密集度も高い」ため、早い時期に建方を終え、大型搬入車両や大型重機を無くすことで、工区全体の工事の円滑化を図った。
 竹中新生産システムでは、30万点ほどに上る部材の組み立てに際し、生産性向上効果の高い施工計画を早期に検討する。3Dプリンターで出力した模型とBIMソフトを使って、最適な建方工法を選定。設計から施工までの過程で使用されるBIMソフトは、共通データ形式で連動させるオープンBIM方式を採用し、効果的な生産準備を実現した。
 またオフサイト化を推進(オフサイトロジスティクス)して、各部材をできる限り工場で製作。ジャスト・イン・タイムで現場搬入することで効率的な製作と運搬、施工を可能にした。さらに最先端の全自動デジタル加工技術を活用(デジタルファブリケーション)。BIMデータを連動させた加工機で、部材のカットから細かな穴あけまで、完全自動で木部材の製作を行い、製作時間の短縮と省人化につなげた。
 生産性向上とともに施工方法にもさまざまな工夫を凝らす。中でも貫接合部について河井氏は「当社は鉄くさびを採用し、木くさびと同じように打ち込んで柱と梁(はり)を固定している」と独自性を説明。「伝統的な貫工法を現代技術でアップデートして日本の伝統建築に近づけた」と強調する。総じて、「伝統建築を守る」ことに意識を向け、細部にこだわって施工してきた。
 開幕後、世界中から会場を訪れる来場者に「細かい施工の技術や工夫にはなかなか気づいてもらえないだろう」と河井氏は想像する。その上で、「たとえ100人に1人でもこの場所で心地よさを感じてもらえたらうれしいし、プロが見て“竹中のものづくりはすごいな”と思ってもらえると幸せだ」と思いを語った。
 
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3. 1026枚のCLT・羽目板パネルを配置、日本館の現場技術者に聞く

The Japan Pavilion

 
日本館パース
日本館完成イメージ〈提供:経済産業省〉
 
 
 2025年大阪・関西万博に経済産業省が出展する日本館。「いのちと、いのちの、あいだに」をコンセプトとしたパビリオンは、「木の板」が立ち並ぶ円環状のパビリオンとなる。あえて板の隙間をつくることで光が通り、中と外、展示と建築の連続によって、日本館のテーマにもある「あいだ」を来場者が意識するきっかけをつくっている。「木の板」は主にCLT(直交集成板)をボルト接合とすることで、万博終了後に解体を容易にしやすく、またサステナビリティに優れた木材でもあるため自治体や事業者に再利用してもらうことを予定。まさに「循環」を意識したパビリオンとなっている。
 このパビリオンは「プラントエリア」、「ファームエリア」、「ファクトリーエリア」の3エリアで構成。複数の出入り口や動線を設けることで、異なる物語を体験することができる。このうち、9月にはファームエリアで展示内容が発表された。地球温暖化や食糧問題といった人類共通の課題の解決が期待される藻類を主役とし、その魅力や可能性を藻類に扮したハローキティが紹介する。
 今回、施工を担う清水建設の現場担当者を取材。施工技術などについて話を聞いた。
 
 The Japan Pavilion will be exhibited by the Ministry of Economy, Trade, and Industry (METI). Based on the concept of “Between Lives,” the pavilion will encourage visitors to adopt sustainable behavior towards a sustainable society, such as carbon-neutral economy/society and recycling-oriented society, through exhibits and experiences.
 Within its circular structure, the pavilion holds a distinguish feature: a great circle of wooden planks. Peering between them, visitors can glimpse the interior, connecting the outer and the inner, through exhibits and architecture, inspiring an understanding of what lies “between” ―part of the pavilion’s theme. These planks, mainly composed of cross-laminated timber (CLT), have been designed to be easily disassembled for reuse in buildings across Japan after the Expo is over.
 We interviewed the construction site manager from Shimizu Corporation, the company in charge, and asked of their construction techniques.
 
清水建設所長 坂東一男氏
 

■骨組みの周りに国産スギ使用のCLTパネルと羽目板パネル

 日本館は、小断面の鉄骨が組み合わさった骨組みの周囲に、国産スギを使用した560枚のCLTパネルと466枚の羽目板パネルが円周状に取り付く。CLTパネルは、200_角の角型鋼管による骨格を表裏からサンドウィッチ状に挟み、外からは鉄骨が見えないデザインとなっている。CLTは再利用ができるだけではなく、鉄やコンクリートの組み合わせにも柔軟に対応できるのが特徴だ。
 施設内の1階には設備スペースやバイオガスプラントの機器を設け、2階にはそれぞれのテーマに沿った展示エリアを配置。上部は吹き抜け空間となっている。その他、管理棟には事務局や迎賓室を備える。円の直径は約80b、円周が約250bで大屋根リングの約10分の1程度の大きさとなる。
 9月末時点で工事全体の進捗率は53%で、鉄骨とCLTパネルの施工が終了。10月からは内装工事や設備工事、展示工事も並行して進め、ピークの時には作業員の数が500人に上る。
 
循環を意識した日本館の構造
循環を意識した日本館の構造〈提供:経済産業省〉
 
 

■複雑で難易度高い建築構造もBIMを活用してわかりやすく

 万博開催に向けて工期を厳守するため、工期の短縮案として地上階鉄骨とCLTの地組を提案した。仮設で地組ヤードを設置し、鉄骨とCLTのユニットを製作してから大型クレーン3台を用いて据え付けを行った。さらに、「工場で組んだ長さ約12bの基礎梁を陸送し、現場でジョイントを連結したため、現場での作業時間の短縮と高所作業の減少による安全性の向上にもつながった」と所長の坂東一男氏は話す。
 日本館の構造について「CLTなどの外装の高さや角度が違う分、建物の構造が非常に複雑で難易度が高く、2次元の図面では読解しづらかった」という。BIMを駆使しながら図面や建物の施工ステップなどを3次元と時間軸を合わせて4次元で作成し、作業員らと施工手順を確認。「2次元では分かりにくい外装の納まりや鉄骨の離れ寸法、干渉チェックも容易に行うことができた」
 日本館は新旧の埋め立て地の境目に位置している分、不同沈下で建物に影響が出ないよう、他のパビリオンと比べて基礎を強固に施工している。
 完成に向けて「無事故・無災害と熱中症ゼロを貫いていき、大阪・関西万博のプロジェクトに携わったみんなと完成した際には喜びを分かち合いたい」と思いを語る。
 
 

工事概要

発注者  国土交通省近畿地方整備局
設計者  日建設計
施工者  清水建設
規模   S+W(CLT)造 面積 11,191u
工期   2023年7月21日〜2025年2月28日
 
 

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